孤独は心身ともに悪影響を与える
孤独は、身体面だけなく精神面にも悪影響を与えます。
現代の社会では、孤独が「公衆衛生の危機」とまで言われ、深刻な問題として議論されています。
では、孤独は私たちにどれくらい悪影響を及ぼすのでしょうか。
孤独に関する70件の研究をメタ分析したブリガム大学の研究では、孤立や孤独感が早期死亡と関連があることを報告しています。
具体的には、社会的孤立が約29%、孤独感が約26%、一人暮らしが約32%死亡率を高めることが分かっています。
これは、喫煙や肥満による死亡リスクの上昇と同程度に人体に対して悪影響があると言えます。
他にも、糖尿病の発症リスクや身体の炎症度上昇、睡眠障害など、孤独には多くのデメリットがあります。
これらの症状と孤独の因果関係は明らかにはなっていません。
しかし、他者からの社会的なサポートを受けることで食生活や健康習慣が改善されたり、孤立することからの恐怖から解放される可能性があるでしょう。
実際、社会的な孤立と食生活に関する41の調査をメタ分析した研究では、パートナーがいる高齢者と比較して、独身の50歳以上の高齢者は1日に食べる野菜の種類が約2.3種類少ないことが報告されています。
その理由として、料理をするスキルや調理をする意欲が不足していることと並び、一緒に買い物に行くパートナーがいないことが挙げられ、一人暮らしが健康状態の悪化に影響を与えていると言えるでしょう。
では、友達や知り合いをたくさん作り、人間関係を充実させればいいのでしょうか。
時間やリソースに限りがあるため、友達の数が多すぎると一人ひとりに時間を割くのが難しいでしょうし、少なすぎると人間関係の恩恵が得られないかもしれません。
その疑問に対する答えを示してくれるのが、2016年にニューヨーク大学のシェリル・カーマイケル氏らの研究です。