質の高い人間関係がのちの幸福度を高める
調査の対象になったのは大学生129名であり、それぞれの対象者を約30年に渡って追跡しました。
調査では、参加者が20代および30代の時に、1日に他者と交流する時間やその人数、他者との親密度、人間関係の満足度に関するデータを集めています。
そして30年後、50代になった参加者に孤独感と抑うつ傾向、主観的幸福感を尋ねました。
実験の結果、若い頃に友人の数が多かった人は50代になった時の幸福度が高い傾向にあることが分かりました。
しかし50代の幸福度が最も高くなったのは、20代の時点で友達が多く、30代の頃に友人の数が減った人だったのです。
このことから、20代では交友関係を広げ、30代には友人の数を絞り、人間関係の質を高めることで、その後の幸福度が高まる可能性があると言えるでしょう。
研究者は「多くの人は、人生の初期段階において、できるだけ多くの新しい情報や知識を得ようとする。しかし、30代になると人生の目標が変わり、不必要な社会的関係を整理し始める。その結果、友人に費やす時間や友人の数は絞られ、関係の質がより高まっていく。」
「結婚、子育て、キャリア形成など、人生の前半で起こるイベントを考慮すると、若い頃の交流の仕方がその後の人生における主観的幸福に関わっていることのは驚くべきことだ」と述べています。
もし30代以降も友人の数を絞ることなく、増やし続けた場合、親密な関係性を築くための時間やリソースが確保できず、関係性が表面的になってしまいます。
このような場合、心理的な満足感や支えとなる関係性が不足し、孤独感が増すことでしょう。
「年齢を重ねたら友人の数が減った」や「あの人は交友関係が広いのに自分は狭い」と悩んでいる方は、20代は友達の数を増やし、30代以降は友達の数を絞り、より質の高い関係性を築くのが良いかもしれません。