コヨーテは長年の狩猟にもかかわらず増えていた
人類はこれまで地球上で多くの種を絶滅させてきました。
最終氷河期まで生息していたマンモスは、人類にとって肉や骨、皮の有用性に目を付けられ、絶滅の道へと歩みました。
また近代の日本でも、家畜を襲うニホンオオカミは人間の積極的な狩猟によって絶滅してしまったことが知られています。
北アメリカでも20世紀の間に多くの地域でピューマやオオカミが絶滅してしまいました。
しかしコヨーテは違いました。
コヨーテと言えば西部劇ではよく「悪者」として描かれていますが、歴史的にもコヨーテはオオカミと同じく家畜を襲うとして古くから駆除対象になっていました。
現代においても、コヨーテは人間のペットにとって非常に危険な存在となっており、過去に行われた研究では、コヨーテの胃袋の中身は猫の骨でいっぱいであった事例が報告されています。
また少なからずコヨーテが人間を直接襲った例も報告されており、今もいくつかの地域ではコヨーテの狩猟が許可されています。
ですが人間による長年の狩猟にもかかわらず、コヨーテの個体数と生息域はここ100年で急激な増加を起こしており、かつてはコヨーテがめったにみられなかったアメリカ東北部でも、頻繁に目撃されるようになりました。
マンモスや二ホンオオカミの例を考えると、人間に嫌われて狩猟対象となっている動物は数を減らされ、絶滅へと至ってもおかしくありません。
しかし、どういうわけかコヨーテは繁栄の時代を歩んでいます。
そこで今回ニューハンプシャー大学の研究者たちは、コヨーテの異常な適応力の謎を解明することにしました。