寄生虫で「花粉症」が治った?実は人間の味方かも
寄生虫は何万年にもわたって人類と共生してきました。
考えてみれば、寄生虫とはその名の通り、宿主の体を間借りする居候(いそうろう)なわけですから、借家をメチャクチャにしてしまっては自分たちも絶滅してしまうだけでしょう。
なので寄生虫にとっては宿主に健康でいてもらった方がいいわけです。
実際に人体に対して悪さをする寄生虫は一部であり、そのほかの大半はほとんど無害か、むしろ宿主を健康にしてくれる場合もあります。
例えば、これまでの研究で、寄生虫は人々の体内炎症やアレルギー反応を緩和してくれることが示されています。
炎症やアレルギーは普通、人体の過剰な免疫反応によって引き起こされるものですが、この免疫システムが過度に働いてしまえば、寄生虫までもその攻撃目標になってしまいます。
そこで寄生虫は宿主の免疫反応を弱めることで体内で生き延びるのですが、これが体内炎症やアレルギーを緩和してくれる引き金となるのです。
実際、イギリスのある医学研究所では、花粉症持ちが意図的に鉤虫(こうちゅう)を体内に取り込んだところ、花粉症の症状が軽減されたことが報告されています。
そして寄生虫を体内から排除すると、再び花粉症はひどくなり始めたのです。
これ以外にも、糖尿病になりやすくしたマウスに住血吸虫の抽出物を与えたところ、糖尿病を発症しなくなったりとか、アフリカ人集団を対象とした研究で、住血吸虫の感染者は糖尿病やリウマチを滅多に発症しない証拠などが見つかっています。
寄生虫は何かと悪者に見られがちですが、場合によっては私たちの強い味方になってくれるのです。