・ストーンヘンジはかつて「火葬」の場として用いられていた
・遺骨を「ストロンチウム同位体解析」にかけたところ、中には遠く離れた西部の人々のものがあったことが判明
・ストーンヘンジの石の中にはウェールズ産のものもあり、研究者たちは遺骨の持ち主にウェールズの人々が含まれると考えている
イギリスのストーンヘンジが現在のような「観光地」になるよりもっと昔、中石器時代や新石器時代にそこに住まう人々にとって、その石のモニュメントはある重要な役割を果たしていました。遺されていた骨によって、少なくとも数百年間は、ストーンヘンジが人々の「火葬」の場所として使用されていたと考えられているのです。
火葬に使われていたと考えられる「オーブリーホール」と名付けられた穴には、放射性炭素年代測定によって紀元前3,180年ごろのものとされた、25の頭がい骨のかけらが含まれていました。
今回の研究でブリュッセル自由大学の研究者たちは、それらのかけらを「ストロンチウム同位体解析」にかけてみることに。この解析方法は、その人物が食べていたものや、どこで生活していたのかといった手がかりを提供してくれるものです。
https://www.nature.com/articles/s41598-018-28969-8
その結果、25のかけらのうち15は、ストーンヘンジ周辺で生活をしていた「地元の人」のものであることが判明。しかし、残りの10については、そこからおよそ200kmも離れた西部で生活をしていた人のものであることが分かったのです。
ストーンヘンジにおける石の中には、ウェールズの採石場から運び込まれたとされるものもあり、研究者たちは、それら10の頭がい骨のかけらの持ち主は、ウェールズの人々であると考えています。
彼らはまた、火葬の際に使われた木材にもウェールズ産のものがあることを明らかにしています。そのことからも、ストーンヘンジの建設には遠く離れた2つの場所をつなぐ必要があり、人々が頻繁に往来していたことがわかります。
しかし、ストーンヘンジが建てられた目的については、いまだに全貌が明らかになっていません。しかし、当時の人々にとってそこが何らかの「重要な場所」であったことは疑いようがありません。おそらくその目的は1つではなく、当時の人々の生活に密着した様々な役割を果たしていたことが考えられています。
via: sciencealert / translated & text by なかしー