飲酒で「食道がん」が多発しやすくなる
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お酒を飲むと、体内ではエタノールが分解され、アセトアルデヒドという化学物質に変わります。
アセトアルデヒドは強い毒性を持ち、DNAを傷つけることでがんを引き起こす原因になることが分かっています。
しかし、なぜ飲酒で「食道」だけにがんが多発するのでしょうか?
その大きな要因のひとつが、日本人を含むアジア人に多く見られる「ALDH2遺伝子の変異」です。
ALDH2はアセトアルデヒドを分解する酵素ですが、この遺伝子に変異があるとアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすくなります。
これにより、お酒を飲んだときに顔が赤くなる「フラッシング反応」が起こるのですが、実はこの反応がある人ほど、食道がんのリスクが高いのです。
さらに、食道がんは一か所にできるだけでなく、広範囲に多発する傾向があります。
これを「フィールドがん化現象」と呼びます。
しかしなぜこのような現象が起こるのかは、これまで明確には分かっていませんでした。