Credit:canva
health

健康を蝕むコーヒーの淹れ方に注意!金属フィルターで悪玉コレステロールが急上昇

2025.03.28 11:30:06 Friday

全自動コーヒーメーカーを買おうと通販サイトを除いたとき、「金属フィルター」を使っているタイプが便利そうだと思ったことはないでしょうか?

コーヒーを淹れる際は紙フィルターを用いるのが一般的ですが、金属フィルタータイプでは、いちいち紙フィルターを用意する必要がなく、洗って何度も使えるため非常に経済的で楽な印象があります。

ところがこのタイプのコーヒーマシンには大きな落とし穴があるようです。

2025年3月、スウェーデンのウプサラ大学を中心とした研究チームは、金属フィルターを用い事が多い職場に置かれている全自動コーヒーマシンを調査し、利用者のコレステロール値を大幅に上昇させている可能性を示したのです。

一見便利でスマートな金属フィルターのコーヒーマシンですが、実はコーヒーの中に油分をたっぷり残ってしまっており、一杯で生クリームを60ml入れるのに近い状態にしているというのです。

この研究の詳細は、2025年2月に栄養学などに関する科学雑誌『Nutrition, Metabolism and Cardiovascular Diseases』に掲載されました。

Cholesterol-elevating substances in coffee from machines at work https://www.uu.se/en/press/press-releases/2025/2025-03-21-cholesterol-elevating-substances-in-coffee-from-machines-at-work
Cafestol and kahweol concentrations in workplace machine coffee compared with conventional brewing methods https://www.nmcd-journal.com/article/S0939-4753(25)00087-0/fulltext

コーヒーの「抽出方法」がコレステロールを左右する理由

昔から「コーヒーは体にいい」と言われてきました。

実際、カフェインには覚醒作用があり、ポリフェノールには抗酸化効果もあります。しかし、1980年代に入ってから、ある副作用が注目されるようになります。

それが「コーヒーを飲むとコレステロール値が上がる」という報告です。特に、紙フィルターを使わず直接煮出した“ボイルドコーヒー”(鍋で煮出すスタイルの抽出方法)ではその傾向が顕著でした。

では、なぜフィルターがそんなに大事なのでしょうか?

答えは、コーヒー豆に含まれるジテルペン類という油の一種にあります。このジテルペンは、肝臓がコレステロールを分解する機能を邪魔してしまうのです。

しかしペーパーフィルターを用いた場合、このジテルペンをキャッチしてくれます。つまり、紙を通して淹れたコーヒーは比較的安全というわけです。

意外と多いコーヒーの油分/Credit:canva

ところが、最近では「エコで経済的」として、金属フィルター(ステンレス製など)が家庭や職場で広まってきました。

金属フィルターは繰り返し洗って何度も使えるため、紙フィルターのように毎回買い足す必要がありません。ゴミも少なくなるので環境への負担が少なく、長い目で見ればコストパフォーマンスが高いとされているのです。

しかし金属フィルターは、紙のようにジテルペンを吸着しないため、油分をそのままコーヒーに通してしまうのです。

こうした金属フィルターは家庭向けのマシンでも売られていますが、特に職場に置かれるマシンでよく採用されるタイプです。

ウプサラ大学の研究チームは、「それなら、職場でコーヒーを飲むと体に悪いのでは?」と考え、スウェーデンの病院や医療施設にある14台のコーヒーマシンを徹底調査しました。

その結果、実際職場に置かれているコーヒーマシンは金属フィルター式が中心であり、コレステロールを上げるジテルペン類の量は、紙フィルターを用いた場合の10倍以上含まれているとわかったのです。

研究で報告されていた、このジテルペンの代表格である「カフェストール」の含有量を以下に比較して表記します(単位はmg/L=1リットルあたりのミリグラム量)。

抽出方法 カフェストール濃度(mg/L)
紙フィルター式ドリップコーヒー 約12
ブリューイングマシン(職場用) 平均176(最大で444)
ボイルドコーヒー(煮出し式) 約939

この差は驚くべきものです。ペーパーフィルターを使えば大半のカフェストールは取り除かれますが、金属フィルターではそれがそのまま残り、さらに煮出し式では桁違いの量になってしまいます。

ちなみに煮出し式とは、鍋に水とコーヒー粉を入れて沸騰させて抽出し、その後、粉が底に沈むのを待ってから、上澄みだけを注いで飲むスタイルのことです。電源のない場所でも手軽に淹れられるため、特にキャンプやアウトドアで親しまれています。

煮出し式を日常的に用いる人はほとんどいないでしょうが、金属フィルターで日常的にそのコーヒーを飲んでいるとどうなるのでしょうか――次章ではその影響を見ていきましょう。

次ページ1日3杯×週5日で悪玉コレステロールが約1.5倍に!?

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

健康のニュースhealth news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!