西ヨーロッパにたどり着いた最初のヒト?
私たちの祖先はどのようにしてヨーロッパにたどり着いたのでしょうか?
これまでの研究では、西ヨーロッパに最初に到達したヒト族は、約120万~80万年前のホモ・アンテセッサーであると考えられていました。
しかし今回の発見によって、140万年前にはすでにヒト族がヨーロッパに存在していた可能性が浮上しています。
「ピンク(Pink)」という愛称がつけられたこの化石は、スペイン北部アタプエルカにある洞窟遺跡から発掘されたものです。
見つかったのは、約110万〜140万年前に遡る顔の左側の顎と頬骨の一部でした。
その骨を詳しく調べたところ、予想されていたよりも現代的な顔の特徴が少なく、細長く平たい形をしていることがわかりました。
ホモ・アンテセッサーの顔は現代人に近い特徴を有しているのに対し、新たに見つかったヒトは平たい顔立ちや未発達な鼻を持っており、アフリカやアジアで発見されているホモ・エレクトスの顔により近い形状をしていたとのことです。

このヒト族はまだ完全に新種とは断定されておらず、正式な学名も付いていませんが、研究チームは現時点で「ホモ・アフィニス・エレクトス(Homo affinis erectus)」という名前で分類しています。
アフィニスとは「類似している」という意味であり、総じて「ホモ・エレクトスに類似したヒト族」を意味します。
ちなみに今回見つかったヒト族の個体は、歯の摩耗具合から成人に達していることがわかりましたが、具体的な年齢や性別までは特定できていません。
ホモ・アフィニス・エレクトスは西ヨーロッパにたどり着いた最初の人類である可能性がありますが、では彼らはどうやってスペインまで移動したのでしょうか?