日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明
日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明 / Credit:Erik D. Demaine et al . arXiv (2024)
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日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明

2025.03.17 17:00:08 Monday

「正三角形をピースに切り分けて正方形を作るとしたら、最も少ない切り分けは何ピースなのか?」

1902年、イギリスの数学者ヘンリー・アーネスト・デュードニーは、雑誌のパズル連載で「正三角形をできるだけ少ないピースに切り分け、並べ替えて正方形を作り出す」という問題を初めて提示したとされています。

しかし残念なことに十分な答えは得られず、その後デュードニー自信によって「4ピースが最小の可能性が高い」とする「4ピースの解」を発表することになります。

ただこの4ピース説が本当に正しいのかは、謎が提唱されてから現在に至る120年にわたり誰も正確に答えられませんでした。

ところが最近、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の上原教授と鎌田教授そしてマサチューセッツ工科大学(MIT)のデメイン教授らを中心とする研究チームが、“マッチングダイアグラム”という新手法を駆使し、「3ピース以下の解は存在しない」という結論にたどり着いたのです。

この成果は、幾何学や工学、材料科学など、幅広い分野にも大きなインパクトを与える可能性があります。

研究者たちはいったいどうやって“最小ピース数”を証明したのでしょうか?

研究内容の詳細は『arXiv』にて公開されています。

Dudeney’s Dissection is Optimal https://doi.org/10.48550/arXiv.2412.03865

デュードニーから始まる切り貼りの挑戦――なぜ少ないピースにこだわるのか

日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明
日本人が120年越しの「正三角形パズル」の謎を数学的に解明 / Credit:Erik D. Demaine et al . arXiv (2024)

1902年に雑誌で初めて紹介されたデュードニーのパズルは、1907年に再録された著書でも大きな話題を呼びました。

たとえば手元に上のような「正三角形」の形をした紙や板があると仮定し、これを複数のピースに分割してから「回転」や「移動」で並べ替え、ここでは正方形に組み直すというパズルです。

切れ目を入れて複数のピースができあがっても、面積は当然変わらないため、三角形と正方形が同じ面積なら理屈の上では再配置可能だという期待があります。

しかし、「いったい何枚のピースに切ればスムーズに正方形を作れるのか」「複雑すぎるピース形状にならないか」という問題は常に付きまといます。

実際、適当に切っていっても正方形を作れるかもしれませんが、そのような場合は大抵、ピース数が多くなりすぎてしまいます。

ここで「なるべく少ないピース」「重ならないように正方形を形成」という課題が浮上し、それこそがこのパズルの核心的な難しさです。

「特定の解が最小である」と証明するためには、それより少ないピース数では決して正方形を作れないことをすべてのケースで示さなくてはなりません。

ピースの形状や配置は理論上無限に近いほど多様化できるため、単に面積が一致するからといって安易に確定できない点が、この問題を非常に難しくしています。

研究者たちはどのようにこの問題に立ち向かったのでしょうか?

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