ADHDの子は本当に勉強も苦手?

ADHD、発達性読み書き障害、発達性算数障害はいずれも、知的発達には問題がないにもかかわらず、日常生活や学校生活に支障をきたす発達特性です。
それぞれの特性が単独で現れることもありますが、複数が同時に存在するケースも少なくありません。
たとえば、ADHDを持つ子どものうち、約半数近くが読み書きや算数の困難も抱えているという報告があります。
では、これは単なる偶然なのでしょうか?
あるいは、ADHDの症状が原因で学習に集中できず、結果的に読み書きや計算も苦手になるという因果関係があるのでしょうか?
それとも、もっと根本的な共通原因が存在するのでしょうか?
この問いを解明するため、研究チームは「双子研究」というユニークな手法を取りました。
双子研究では、一卵性双生児(一卵性双生児は遺伝子をほぼ100%共有)と二卵性双生児(遺伝子共有率は約50%)を比較することで、ある特性がどれほど遺伝に影響されているのかを調べることができます。
今回の研究では、オランダ双子登録(Netherlands Twin Register)に基づき、1989〜2009年に生まれた双子1万9125組(約2万人)のデータを解析。
子どもたちが7歳と10歳のときに、教師からのADHD評価と全国統一の学力テスト(読み、書き取り、計算)結果を収集しました。
研究者たちは、これらの発達特性がどの程度重なって出現するかを調べるだけでなく、それぞれの能力の変化が互いにどう影響し合っているかも長期的に追跡しました。
たとえば、「ADHDがあると将来的に読みが苦手になるのか?」「逆に読みの困難がADHD症状を悪化させるのか?」といった因果関係にも迫ったのです。