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Credit: NASA Goddard – Largest Organics Yet Discovered on Mars(youtube, 2025)
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火星で「史上最大の有機分子」を発見!ついに生命の痕跡か?

2025.03.26 12:00:21 Wednesday

「火星に生命は存在したのか?」

その壮大な問いの答えに一歩近づく発見がなされたようです。

フランス国立科学研究センター(CNRS)はこのほど、火星探査車「キュリオシティ」が採取した岩石試料から、これまで火星で見つかった中で最大の有機分子を発見したと報告しました。

研究者らは「生命誕生につながる化学反応が、火星では予想以上に進んでいた可能性がある」と話しています。

研究の詳細は2025年3月24日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されました。

NASA’s Curiosity Rover Detects Largest Organic Molecules Found on Mars https://www.jpl.nasa.gov/news/nasas-curiosity-rover-detects-largest-organic-molecules-found-on-mars/ Largest Carbon Molecules Found on Mars Build The Case For Ancient Life https://www.sciencealert.com/largest-carbon-molecules-found-on-mars-build-the-case-for-ancient-life
Long-chain alkanes preserved in a Martian mudstone https://doi.org/10.1073/pnas.2420580122

火星には約37億年前に「湖」があった

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Credit: NASA Goddard – Largest Organics Yet Discovered on Mars(youtube, 2025)

キュリオシティは2012年に、火星の赤道付近にある「ゲール・クレーター」へと着陸しました。

それ以来、「火星にかつて生命が存在していたのか」あるいは「生命誕生に近い状態にあったのか」という謎を解き明かすために、地質学的な手がかりを集めています。

実際に、キュリオシティによるこれまでの調査で、ゲール・クレーターが約37億年前には水で満たされた古代湖だったことが明らかになっているのです。

キュリオシティが採取した「カンバーランド試料」と呼ばれるサンプルは、粘土鉱物を豊富に含んでおり、これはかつてこの地に水が存在したことを物語っていました。

加えて、動植物の健康に欠かせない硝酸塩が多く含まれていたり、地球上では生物由来とされるタイプの炭素からできたメタンも検出されているのです。

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岩石試料を採掘する様子/ Credit: NASA Goddard – Largest Organics Yet Discovered on Mars(youtube, 2025)

これらを踏まえて、NASA・ゴダード宇宙飛行センターのダニエル・グラヴィン(Daniel Glavin)氏はこう話しています。

「ゲール・クレーターには数百万年、あるいはそれ以上の長期間にわたって液体の水が存在していた証拠があります。

つまり、火星のこのクレーター湖のような環境では、生命を形づくる化学反応が進行するのに十分な時間があったと考えられるのです」

そこで研究チームは今回、生命の体を形作るのに欠かせないタンパク質を構成するアミノ酸の痕跡を探すため、新たにカンバーランド試料を調査しました。

カンバーランド試料はまだ地球には持ち帰れていないので、キュリオシティに搭載されている「SAM(Sample Analysis at Mars)」という分析装置を用い、オーブンで試料を加熱することで放出される分子を測定しています。

するとアミノ酸の証拠は見つからなかったものの、代わりに、火星で見つかった最大の有機化合物が発見されたのです。

これは何を意味するのでしょうか?

次ページ史上最大の有機分子は何を意味する?

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