分子雲は「星のゆりかご」?
夜空に輝く星々は、宇宙のどこでどのようにして生まれるのでしょうか?
その答えのカギを握るのが「分子雲」と呼ばれる天体です。
分子雲とは、水素や一酸化炭素を中心としたガスや塵が大量に集まった領域で、宇宙で星が誕生する場でもあります。
その中でも、全体の質量が太陽の10万倍以上に達するものが「巨大分子雲(GMC)」です。
巨大分子雲は直径が15〜600光年にも及び、星間空間の中でも最も冷たく、最も密度が高い領域として知られ、一度に数多くの星を一度に生み出すことができます。

しかし、分子雲は星が生まれる場所として重要視される一方、その形成過程や性質にはまだ多くの謎が残されています。
特に、天の川銀河の中心部に向かって物質が流れ込む通路となっている「塵の帯(Dust Lanes)」における星形成の実態は、議論の的となってきました。
一部の研究では、これら塵の帯の内部では星形成が抑制されるとも言われていましたが、最近の観測では、塵の帯に沿って若い星団が形成されていることも確認されており、その役割を再評価する動きが進んでいます。
このような背景の中で、研究チームは新たに天の川銀河中心にある巨大分子雲を発見したのです。