太陽質量の16万倍もの巨大分子雲を発見!
研究チームは今回、米ウェストバージニア州にあるグリーンバンク望遠鏡を用い、分子ガスのスペクトル観測を行いました。
その結果、地球から約2万3000光年の彼方、天の川銀河の中心付近にある「塵の帯」の中で、新たな巨大分子雲の存在が確認されたのです。
この巨大分子雲は「M4.7–0.8」と命名され、全長約195光年、幅65光年にもおよぶ構造を持ち、質量はなんと太陽の16万倍に達することが明らかになりました。

また、M4.7–0.8内には「ノットB(Knot B)」と「ノットE(Knot E)」という2カ所の星形成の候補となる領域も発見されています。
特にノットEは高密度で彗星のような構造を示しており、「自由浮遊蒸発ガスグロブール(自由に漂う蒸発性のガスのかたまり)」である可能性があるとされていますが、さらなる調査が必要です。
さらに巨大分子雲の内部では、ガスが秒速10キロ以上の速度で乱流しており、これは天の川銀河の中心分子雲帯(CMZ)に見られるような極端な環境に似ています。
つまり、今回の分子雲は単なるガスの塊ではなく、銀河の「星づくり工場」に物質を供給する“活火山”のようなダイナミックな構造を持っているのです。
星は夜空にただ瞬いているだけでなく、そこには銀河の奥深くで繰り広げられるダイナミックな誕生のドラマがあります。
今回発見された巨大分子雲「M4.7–0.8」は、私たちの銀河の構造や星の誕生の秘密を紐解くための新たなピースとなるかもしれません。