火星の環境はどれほど厳しいのか?
今日の火星は「赤い惑星」として知られるように乾燥した環境にあり、青い海や生命体の存在は確認されていません。
これまでの研究で、40億年ほど前には海や湖が広がっていたことがわかっていますが、現在は地球生まれの生命体ではまともに住めないような環境になっています。
例えば、地球の平均気温が約14℃であるのに対し、火星の平均気温は約-60℃です。
昼夜の寒暖差が激しく、昼間の温度は赤道付近で最高20℃程度ですが、夜間は-125℃まで下がることもあります。
それから地球の大気は約78%が窒素、21%が酸素であるのに対し、火星の大気は90%以上が二酸化炭素です。
とても生身のままでは呼吸できません。
さらに火星の重力は地球の3分の1ほどであり、大気圧も地球の約0.6%と非常に低いです。

そして、火星のような極端な環境で最も問題となるのが放射線です。
地球には厚い大気と強い磁場があるため、宇宙空間からの有害な放射線を防いでいますが、火星ではそれらがないため、強力な紫外線やX線、ガンマ線などが直接表面に降り注ぎます。
もし人類が火星に移住して、農作物や家畜を育てたいのであれば、地球生まれの生命体がこうした厳しい火星環境にどれほど耐えられるかを知っておかなければなりません。
そこで研究チームは今回、地球上でも過酷な環境で生存できる「地衣類」に注目して、実験を行いました。