「美しさは手に入る」と考える人ほど、身を危険に晒しやすい
今や、美への欲求が私たちの生活に与える広範な影響を認めないわけにはいきません。
2023年時点で、美容コンテンツは音楽とライフスタイルに次いで、Instagramにおける世界のインフルエンサーたちの中で3番目に人気のあるカテゴリーとなっています。
こうした背景から、化粧品産業は世界中で成長を続けており、美容整形やスキンケアといった「美しくなるための努力」は、ごく一般的な選択肢になっています。
これほど多くの美容法が身近にある今、ふと立ち止まって考えることはないでしょうか?
それは「見た目の美しさは本当に努力で高められるものなのか? それとも美しさは生まれつきのものであり、努力ではどうしようもないのか?」という問題です。
この問いに対する考え方は人それぞれでしょう。
「見た目のよさは生まれつき決まっており、どれだけ美容を頑張っても限界がある」と考える人もいますし、反対に「整形や化粧の仕方で美しさはどうにでもなる。自分は今よりもっと美しくなれる」と考える人もいます。
別に、どちらが正しくて、どちらが間違っていると決めることが重要なのではありません。
そうではなく、研究チームは今回、「見た目の美しさ」に対する考え方がリスク行動とどのように関係しているかに焦点を当てました。

チームは4000人以上の参加者を対象に実験を実施。
美に対する信念とリスク行動傾向との関連を調べた結果、興味深いことに、「美しさは手に入れられる」と強く信じている人は、「美しさは変えられない」と考える人よりも、ギャンブルや危険行動を含むリスク行動を取りやすいことが明らかになったのです。
たとえば、意思決定のシナリオでは、「200ドルを得られる確率80%、何も得られない確率20%」という選択肢よりも、「800ドルを得られる確率20%、何も得られない確率80%」という選択肢を好む傾向が見られました。
これは経済的リスク選好の一例です。
また、危険な登山道に挑戦したり、やや危険なスキーコースを滑ったりする可能性も高くなるなど、身体的リスクに対しても積極的になる傾向が確認されました。
では、なぜ「美しさは手に入れられる」と考える人は、リスク行動を取りやすいのでしょうか?