写真や映像でも「癒し効果」が得られる
多くの人が「自然の中に行くとリラックスできる」と感じた経験があるのではないでしょうか。
森林浴や海辺の散歩、公園での読書など、自然とのふれあいは心身の健康に良い影響を与えることが知られています。
このような自然の効果は、心理学の世界では「ストレス低減理論(Stress Reduction Theory)」や「注意回復理論(Attention Restoration Theory)」といった枠組みで説明されています。
しかし最近では、現実の自然に触れなくても、写真や映像、さらにはバーチャルリアリティでも同様の癒し効果が得られることがわかってきました。

では、もし自然の中に「実際に行くことすらできない」場合はどうでしょうか?
たとえば都会の真ん中や病院のベッドの上でも、頭の中で自然の風景を思い描くことで、同じように心が癒されるのでしょうか?
この疑問を出発点に、今回の研究は設計されました。
研究者たちは「人間の想像力(メンタル・イメージ)」そのものが、実際の経験と同様の生理的・心理的な反応を引き起こす可能性に注目したのです。