あくびは同じ種でも同じではなかった!
あくびは、ヒトを含めた脊椎動物に広く見られる行動です。
これまでは動物のあくびの仕方や長さは種ごとに異なるものの、同じ種の中ではどこに住んでいても変わらないと考えられてきました。
ところが今回の研究では、その常識が覆されました。
研究チームは、北海道南部の異なる4つの河川からイワナの稚魚を134個体採集し、観察水槽で1匹ずつ9分間の行動を録画しました。
着底行動(水底に静止する状態)中と遊泳中のあくびをそれぞれ記録し、発生頻度と持続時間を比較しました。
結果として、あくびの頻度は地域による差はありませんでしたが、あくびの長さには明確な違いが確認されました。
例えば、ある生息地の稚魚は着底中のあくびが短く、別の生息地では遊泳中のあくびが長くなるなど、住む場所ごとに微妙な差異が現れたのです。

この違いは、水温や捕食者の有無といった各地域特有の環境要因によって引き起こされた可能性があります。
つまり、魚のあくびも環境に応じて進化的に調整されている可能性があるのです。