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フクロウの翼を模倣した「静かなプロペラ」の開発 / Credit:千葉大学
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”静かなドローン”開発へ!静寂の狩人「フクロウ」の翼を模倣したプロペラを設計!

2025.05.29 22:00:23 Thursday

ドローンの活躍は止まらない一方で、騒音問題が課題となっていることも事実です。

特に人口密集地でドローンが広がるためには、この問題を解決しなければいけません。

そこで、この分野に挑戦したのが千葉大学の研究グループです。

彼らは、フクロウの翼に隠された「静かな飛行の秘密」を模倣

特殊なプロペラを開発し、騒音を効果的に低減する技術を生み出しました。

この研究成果は2025年5月23日付けの『Physics of Fluids』誌に掲載されました。

自然界の静音設計をドローンへ ~フクロウの翼に学ぶ新技術~ https://www.chiba-u.jp/news/research-collab/ryu.html
Owl-inspired leading-edge serrations for aerodynamic noise mitigation in drone propellers Available to Purchase https://doi.org/10.1063/5.0268150

フクロウの翼が教えてくれた「静音の秘訣」

今回の研究が注目したのは、夜行性で知られるフクロウの翼です。

フクロウは夜間に獲物を狩る際、驚くほど静かに飛び、対象に気づかれずに瞬時に近づきます。

その秘密は翼の羽根の前縁にある鋸歯状の小さな突起にあります。

フクロウの翼にあるこの鋸歯状の構造(セレーション)は、飛行時に翼に当たる空気の流れを細かな渦に分割できます。

大きな渦は乱れを生み出し、それが騒音の原因となりますが、小さな渦へと分割することで乱れを抑え、結果的に騒音を大幅に低減できるのです。

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(a)フクロウの翼の形態、(b) フクロウの第 10 主羽根、(c) クリーンなプロペラ(CLE)と、鋸歯の大きさが異なる 3 つの鋸歯状プロペラ(SER3、SER6、SER9)、(d) CLE モデルの正面図、(e)鋸歯形状の特徴。/ Credit:千葉大学

研究グループは、この自然界の高度な静音技術を大型ドローンのプロペラに応用しました。

プロペラ前縁部にフクロウの翼を模した鋸歯形状を設計し、数値流体力学の手法であるラージ・エディ・シミュレーション(LES)とFfowcs Williams-Hawkings音響アナロジーという高度な計算手法を駆使して、最適なデザインを追求しました。

その結果、鋸歯の振幅と幅をそれぞれ6mm、間隔を8mmに設定した「SER6」という設計が、騒音低減と空力性能のバランスにおいて最も優れた成果を示しました。

では、実際にこの新しいプロペラはどのくらい騒音を抑えられるのでしょうか?

次ページ「フクロウ翼模倣プロペラ」が最大3dBの騒音軽減を達成!それってどれくらい?

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