身長に不満があると、同性をライバル視するように?
人間社会では、背が高いことがしばしば「得」として扱われます。
特に男性において、身長は「支配的」「有能」「魅力的」といった印象と結びつきやすく、恋愛や仕事でも有利に働くとされてきました。
こうした社会的なステレオタイプは、本人の内面にも影響を与えます。
背の低さにコンプレックスを抱く男性は、他の男性より劣っていると感じやすく、自尊心が下がる傾向にあります。
今回の研究では、この「身長への不満」が同性間の嫉妬や競争心とどのように関係するかが詳しく調査されました。

調査では、アメリカ在住の異性愛者302名(男性63%、年齢20〜72才、平均約37才)を対象に、次のような要素が測定されました。
・実際の身長
・理想の身長
・「もっと高くなりたい」という気持ち
・「自分の身長に満足しているか」
・同性への嫉妬・羨望・競争心の強さ
データ分析の結果、予想通り、男性・女性の両方が平均して「今よりも身長が高くなりたい」と感じていました。
また性別間で見ると、女性の方が男性よりも羨望が強い傾向がありましたが、男性の方が実際の身長が高く、かつさらに高くなりたいと望む傾向が強いことも示されました。
そして相関関係を分析したところ、背が低い人、あるいは自分の身長に不満を感じている人ほど、同性に対して羨望、嫉妬、競争心を強く抱く傾向があることがわかったのです。
これらの効果は特に男性で顕著でした。
背の低い(あるいは「背が低い」と感じている)男性ほど、同性への羨望・嫉妬・競争心が高まる傾向にありました。
女性の場合、実際の身長と競争心の間にはそれほど強い関連は見られませんでしたが、「もっと背が高くなりたい」という心理的欲求は競争心と関連していました。