この靴は誰のもの? 巨人説の行方
この巨大な靴の持ち主について、さまざまな仮説が浮上しています。
もっとも自然な仮説は、ローマ軍の中でも特に体格のよい兵士、あるいは軍団の幹部クラスの人物が履いていたというものです。
ローマ帝国は各地から兵を集めており、ゲルマン系や北方の部族出身の兵士が混在していたこともわかっています。
そうした人々の中には、ローマ人よりも遥かに大柄な者もいたと考えられており、この靴のサイズもその一例かもしれません。

また、要塞で働いていた兵士や職人たちは、革製品や金属製品の加工を行うスキルも持っていました。
この靴の構造を詳しく調べたところ、靴底は何層もの革を重ね、縫い糸やびょうでしっかりと固定されていたことが判明しています。
防水性や耐久性を重視した、実用的な作りだったことからも、この靴が実際に使用されていたことは間違いありません。
それにしても32センチという異例のサイズは、ローマ帝国のコレクションの中でも最大級の可能性があります。
現在、この靴は専門の革製品研究者によって詳細な分析が進められており、どのような人物がこの靴を履いていたのか、そして彼がマグナの要塞でどのような役割を果たしていたのかを解明する手がかりになることが期待されています。
こちらは発掘作業の様子をまとめた映像です。