ブラックコーヒーだけが健康効果を持っていた
研究の結果、1日に1~3杯のコーヒーを飲む人は、まったく飲まない人に比べて死亡リスクが14~17%低いことがわかりました。
とくに、朝にブラックコーヒーを飲むタイプの人に、その傾向は強く見られました。
こうした点はこれまでのコーヒーに関する研究報告と一致しています。
しかし、飲み方を細かく分類すると、「コーヒーにたっぷり砂糖やクリームを加えている人たち」には、そのような健康効果はほとんど見られなかったのです。
加糖・加脂肪のコーヒーを多く飲んでいる人たちは、コーヒーを飲んでいない人と同じか、あるいはそれ以上の死亡リスクを抱えている可能性すら示唆されました。
研究者たちは「ブラックコーヒー」と「砂糖やクリーム入りのコーヒー」の効果に違いが出た理由として、砂糖や脂肪が健康に悪影響を与えるため、コーヒーの良い効果を帳消しにしてしまう可能性があると述べています。
たとえば、砂糖の過剰摂取はインスリン抵抗性を悪化させ、糖尿病のリスクを上げることが知られています。
また、クリームなどの飽和脂肪は心臓病の要因になりやすく、慢性炎症を引き起こす可能性もあります。
つまり、「コーヒーが体にいい」という話の中には、“何を一緒に摂っているか”という視点がこれからもっと重要になるというわけです。
もうひとつは、ブラックコーヒーを好む人が、もともと健康意識が高く、食生活や運動習慣も良好である場合が多いという“交絡要因”です。
ただ、それを加味してもなお、ブラックコーヒーの飲用が健康に良いという結果は統計的に明確でした。
また興味深いのは、飲む「時間帯」による差も確認された点です。
午前(午前4時~正午)に集中して飲む「朝型」のコーヒー習慣は、死亡リスクの低下と強く関連していましたが、午後から夜にかけてダラダラと飲む「全日型」では、その効果は見られませんでした。
つまり、「ブラックで」「朝に」「1~3杯」飲むという組み合わせが、健康へのメリットを最大化するという結果になったのです。
「健康のためにコーヒーを飲む」なら甘さは避けよう

この研究から得られる教訓は、「すべてのコーヒーが体に良いわけではない」ということです。
ブラックで飲むなら、コーヒーは長生きや心臓の健康に貢献してくれるかもしれませんが、砂糖やミルク、クリームをたっぷり入れたり、デザートとともに飲むコーヒーでは、その恩恵は期待できないどころか、健康を損なうリスクがあるのです。
毎朝のカフェラテが習慣になっている人にとっては、ちょっと耳が痛いかもしれません。
しかし、健康を意識するならば、まずは砂糖の量を減らしてみることから始めてみるのはいかがでしょうか。
「せっかく飲むなら、意味のある一杯を」
この研究は、そんなシンプルだけど大切なことを教えてくれているのかもしれません。