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ウシガエルの徹底駆除で在来カメが復活 / Credit:UC Davis
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「1万6000匹のウシガエル」駆除作戦の結末は?在来カメが復活

2025.06.20 06:30:01 Friday

夜の河川で「ブオー、ブオー」とウシのような声を聞いたことがあるでしょうか?

その正体は、北米原産の「ウシガエル(学名:Rana catesbeianaまたはLithobates catesbeianus)」です。

この巨大なカエルは、日本の一部の水辺でその姿を見ることができますが、カリフォルニア州では在来生物に深刻な影響を与えています。

そんな影響を調査したのがアメリカ・カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の研究チームです。

彼らはヨセミテ国立公園で、ウシガエルを徹底的に駆除しながら、在来種の淡水カメ「ブチイシガメ(Actinemys marmorata)」の個体数に与える影響を、7年間にわたって調べました。

研究の詳細は、2025年3月19日付の『Biological Conservation』誌に掲載されました。

Native Turtles Return to Yosemite After Removal of Invasive Bullfrogs https://www.ucdavis.edu/climate/news/native-turtles-return-yosemite-removal-invasive-bullfrogs
Effects of invasive American bullfrogs and their removal on Northwestern pond turtles https://doi.org/10.1016/j.biocon.2025.111090

侵略者ウシガエルと消えた在来カメ

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ブチイシガメ / Credit:UC Davis

ブチイシガメは、カリフォルニア州からワシントン州にかけて生息する、アメリカ西海岸唯一の在来淡水カメです。

しかし、ここ数十年でその個体数は激減しました。

その原因の一つとされているのが、外来種ウシガエルです。

ウシガエルは20世紀初頭に食用目的でアメリカ西部へ導入されました。

ヨセミテ国立公園では1950年代から導入され、1970年代には完全に定着。

強靭な肉体と驚異的な繁殖力によって、生態系を激しくかき乱してきました。

とくに問題なのが、その食欲です。

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何でも食べるウシガエル。オタマジャクシも巨大 / Credit:UC Davis

ウシガエルは口に入るものなら、昆虫、魚、小鳥、ネズミ、そしてブチイシガメの子ガメまで何でも食べます。

彼らは獲物を簡単に丸呑みしてしまうのです。

実際、研究者たちは捕獲したウシガエルの胃の中から、6匹の子ガメを発見しています。

そこで今回の研究では、ウシガエルの影響を評価するために、4つの調査地点が選ばれました。

2つはウシガエルが存在する池、残りの2つは存在しない池です。

そして2016年から2022年までの間、研究チームは罠や網、ライトトラップ、手捕りなどを駆使して、2つの池から合計1万6384匹のウシガエルを捕獲・駆除しました。

さらに、ブチイシガメについても継続的にモニタリングを実施。

甲羅の長さや体重、年齢、捕獲数、出現密度などを丹念に記録し続けました。

では、このような徹底的な駆除と調査の結果、どんなことが分かったのでしょうか。

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