1万6000匹のウシガエルを駆除した結果、在来種の子ガメを確認

調査の中で、ウシガエルが残っていた池に生息するブチイシガメは、すべて年老いた大型個体だけでした。
つまり、子ガメが育っていないのです。
これは、ウシガエルの捕食によって若い個体が淘汰されていたことを意味しています。
一方、ウシガエルのいない池では、ブチイシガメの約35%が子ガメや若年個体でした。
個体数もウシガエルのいる場所より2倍〜100倍も多く、ブチイシガメの個体数の減少は、やはりウシガエルの存在が原因だと推測できます。
そして決定的な変化が訪れたのが、2019年以降です。
この年までにウシガエルの駆除がほぼ完了したことで、ウシガエルがいた池でも初めて子ガメの自然出現が確認されました。
つまり、駆除からわずか3年で在来カメが復活したのです。

ブチイシガメは成長が遅く、産卵数も少なく、しかも寿命が長いため、個体群が一度崩れると回復には非常に時間がかかることで知られています。
それだけに、この「子ガメの復活」は、地道な駆除と保護の努力が報われた瞬間と言えるでしょう。
研究者たちは今後も調査を続け、他の保護地域や再定着プロジェクトへの応用も視野に入れています。
ただし、駆除は手間もコストも大きく、すべての地域で実施するのは非現実的です。
そのため、ウシガエルの再侵入リスクの低い保護優先区域を選定することが重要でしょう。
今後は粘り強さと共に効率的な対策が必要なのです。
今回の取り組みによって、2つの池で、またカメの甲羅が陽にきらめく日々が戻ってきました。
1万6000匹のガマの声を抑えることで、生き物たちの静かな復活の声が、今、響き始めています。
ブチイシガメって名前がいいな
ウシガエルさん悪者になってしもうた。