カカオパワーで判断力を維持
早稲田大学と立命館大学の研究チームは今回、ココアに豊富に含まれる「フラバノール」という成分が、運動中の判断力を高める効果を持つことを明らかにしました。
そもそも、バスケットやサッカーを含む流動的な競技では、選手は走るだけでなく、つねに周囲の状況を観察し、最適な行動を選び続けなければなりません。
認知疲労がたまると、注意力が落ち、判断の正確性やスピードが低下してしまうのです。
チームはこの問題に対し、カカオ由来の天然成分「ココアフラバノール」に注目しました。
以前の研究で、この成分には抗酸化作用や血流促進効果があることが知られており、さらに精神的疲労感を和らげる可能性も指摘されていました。

今回の実験では、被験者に認知疲労を50分かけて人工的に誘導し、その後、有酸素運動中に判断力(反応速度と精度)を測定するという方法がとられました。
被験者には運動の1時間前に「高用量フラバノール(500mg)」入りカプセルか、「低用量」カプセルのいずれかを摂取させるという手法が用いられました。
その結果、高用量のフラバノールを摂取したグループでは、認知疲労下でも明らかに判断力が維持されていたことが確認されました。
ただし、疲労感そのものが軽減されたわけではなく、「頭の疲れは感じるものの、判断のスピードや正確さは保たれていた」という現象が見られたのです。