空想と実践の間にある壁

日本で一般に「SMプレイ」として知られている用語は、性科学の世界ではBDSMと呼ばれています。
これは「ボンデージ(拘束)」、「ディシプリン(しつけ)」、「ドミナンス(支配)」、「サブミッション(服従)」、「サディズム(苦痛を与えること)」、「マゾヒズム(苦痛を受けること)」など複数の言葉の頭文字を組み合わせた略称です。
つまりBDSMとは、縄などを使った拘束や、パートナー間での支配や服従の役割分担、痛みを与えたり受けたりすることを含む、特殊な性的または心理的なプレイを総合した言葉です。
この特殊性のため、BDSMに興味を持つ人々に対して、「心に問題がある人がすることでは?」、「子どもの頃にトラウマがあるのでは?」というネガティブなイメージや偏見が持たれがちでした。
しかし近年の科学研究は、このイメージが実は正しくないことを徐々に明らかにしています。
たとえば、BDSM的な空想(こうした刺激的な行為を想像すること)自体は、約65~69%の人が、一度はしたことがあると報告しています。
この結果が正しければ、BDSMは人類の過半を大きく超えたかなりメジャーな嗜好と言えます。
一方で、その行動を経験したことがある人は、それよりずっと少なく、2~17%程度、一部の調査では8~12%程度と報告されているのです。
つまり、多くの人は空想の段階にとどまり、実際に行動に移す人は非常に限られていることになります。
ちょうど観覧車に乗ってみたいと多くの人が思うけれど、実際に乗る人はそれほど多くないのと似ています。
実際に乗るとなると、待ち時間や安全の確認、何より一緒に乗る相手への信頼など、乗る前にクリアしなければいけない条件が多いのです。
こうした現状をふまえ、ベルギーのアントワープ大学(UAntwerp)の研究チームは、BDSMへの空想を実際に行動に移せる人と、空想にとどまる人とでは何が違うかを調べることになりました。
夢(SM)を実現させる人たちには、どんな秘密があったのでしょうか?