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音楽の好みは年を重ねるごとに狭くなっていく / Credit:Canva
psychology

年齢を重ねるにつれて音楽の好みは狭くなっていく (2/2)

2025.09.12 11:30:18 Friday

前ページ「音楽の冒険心」は一生同じではない。5億回以上の再生履歴を解析

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年齢を重ねると音楽の好みは狭くなっていく。”共有”から”私だけの音楽”へ

研究の結果、まず見えてきたのは、若い世代は現代のポピュラー音楽を広く聴き、思春期から成人期への移行でジャンルやアーティストの幅が最も広がるという傾向です。

流行曲の共有が活発で、プレイリストの重なりも大きくなります。

ところが、年齢を重ねるにつれて、その音楽の裾野は徐々に狭まり、自分の「好き」に合致した範囲を行き来するようになります。

このとき重要になるのがノスタルジー(懐かしさ)です。

中年以降になると、新しい曲をまったく聴かなくなるわけではありませんが、選曲の強い動機として「かつて親しんだスタイル」が効くようになります。

実際、研究チームは、高齢の利用者ほど再生の幅は狭いが、そのぶん好みがユニークで、同年代と重なりにくいという特徴も報告しています。

若者は「みんなが知っている曲」でつながりやすく、高齢者は「私だけの曲」に回帰していく構図です。

この変化は、人の心理と経験の積み重ねで説明できます。

音楽は記憶や自分史と結びつきやすく、人生の節目や日々の感情をまといながら「自分だけの意味」を帯びていきます。

新しい音楽を探索する冒険心は若いときに強く、年齢とともに安心感や自己同一性を満たす選曲が増えるのは自然なことです。

研究チームも「65歳で音楽の大冒険に乗り出す人は多くありません」と述べています。

さらに、この知見はレコメンデーション設計にも直結します。

すべてのユーザーに同じ基準でおすすめすると、世代ごとのニーズを取りこぼします。

たとえば若者には最新ヒットと未知の名曲を混ぜた提案が適しています。

しかし、中年層には新しさと馴染みのバランス、高齢層には個人の音楽史や思い出に寄り添ったきめ細かな推薦が好まれることでしょう。

音楽サービスが「いま目の前の履歴」だけでなく、人生スパンの嗜好変化を見据えることの重要性が強調されたのです。

年齢とともに音楽の好みが「狭くなる」と聞くと、少し寂しく感じるかもしれません。

でもそれは、あなたの中で音楽がより深く個人的な物語になってきたということでもあります。

ときには新しい音にも手を伸ばしながら、懐かしい一曲が運んでくる記憶や気持ちを、これからも丁寧に味わっていきたいですね。

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年齢を重ねるにつれて音楽の好みは狭くなっていく (2/2)のコメント

鈴木

私の小さい頃は。文部省唱歌や抒情歌が、幼児教育や放送の中で流れましたが、今どきは大人でもほとんど聴視経験がないので、需要がいよいよ先細りし、近い将来、忘れ去られてゆくのかしら。
かかし、きしゃぽっぽ、たきび・・など、メロディだけでなく、歌詞が示す情景すら失われてゆきそうです

ゲスト

自分もそうなんですけど新しい音楽のスタイルについて行けないんですよね。
何がいいのか分からないというか。
音楽もテキスタイルと一緒で長期的なスパンで見れば同じ流行をただ繰り返してるだけなのは間違いないのですが、その一周がテキスタイルよりだいぶ長いといいますか。

    ゲスト

    だから老人は演歌に固執してたのか

ゲスト

つまり俺たちは、自分の人生のテーマソングを探し続けていくということか……

ゲスト

なので、子供のころ、若いときに色々なジャンルの音楽を聴いているといいですね。歳をとってから楽しめる音楽の幅が拡がるから。周りの若い人たちに、「君たち、今聴いている音楽を一生聴くよ。だから、配信サービスとかでお勧めされる曲だけでなく、いろんなのを聴いてごらん」と言っています。

    ゲスト

    今の子たちは聴こうと思えば何でもいくらでも聴ける環境があるので、とても恵まれているなあと思います。彼らが素敵な音楽と共によい人生を送れることを願います。

Seth

まわりをみているとそんな気もしますが、65歳になる自分は、普段使っているSpotifyによると年間1300バンド2300曲くらい聞いています。LPもCDも数百枚持ってますが、サブスクになってから余計新曲を聞くようになりました。サブスクだとザッピングも手軽になので視聴数だけは増えている感じです。今どきの若い人はアルバムを聴かないって聞きますが、サブスク視聴が主流なら分かる気がします。

ゲスト

57歳。60~90年代の音楽をずっと聴いてる。それより新しいのはツラいかな。新しいジャンルには手をださなくなったけど、これまで聴いていたジャンルを深掘りするようになった。まだまだ聴くべき音楽はいっぱいある。幸せ。

ゲスト

子供の頃はクラスの友人など身近な人とのコミュニケーションツールとして一番間口の広いjpopなのかもしれません。私個人の経験のみなので一般的かわかりませんが大人になり会社の人と音楽について会話しないから好きだから聴く人のみが残るのかも。

ゲスト

子育てに突入して私の世界から音楽が消えた。ヘッドフォンをしてると赤ちゃんの泣き声が聞こえなくなるから。おかーさん見て!の呼びかけが聞こえなくなるから。子ども番組優先してあげたいから部屋で低く流すこともなくなった。幼稚園に入って時間は生まれたけれど、その時にはもう好きなアーティストのアルバムがたくさん出ててついていけなくなった。
今やっと子どもたちも大きくなり、年齢重ねて、記事の通り昔の曲に戻ってきた笑。
うれしいことに中学生の娘が私の趣味に似てきたことで、昔のアルバムを見せたりデビュー時の話をしたりして楽しめてる。
素敵な音楽は時を超えることを実感してる。
あとうれしいのは十数年ぶりに戻ってきて、まだ好きなバンドが解散してなかったりすること!

 

大衆音楽に関しては、新しい音楽だって実は古い。
過去のヒット曲を解析して美味しい要素を組み合わせる、口当たりのいいブレンド酒と癖の強い原酒は趣向の違い。
今の音楽が新しいと感じたことはないし、むしろ昔のマイナーな音源に度肝を抜かれたりする。

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