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インドだけに生息する「ブラックタイガー」とは? / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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世界で唯一の「ブラックタイガー」がインドの保護区で増加中!実は”危機のサイン”だった (2/2)

2025.10.06 11:30:07 Monday

前ページインドの保護区だけに生息する「ブラックタイガー」

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ブラックタイガーが示す“危機のサイン”とは?

ブラックタイガーがシミリパル保護区でのみ増えている最大の理由は、生息地の孤立と個体群の遺伝的閉鎖性にあります。

もともとトラは広い領域を移動し、異なる個体群どうしが混ざり合うことで遺伝的多様性を保ってきました。

しかしシミリパル保護区は、周囲の他のトラ生息地からおよそ160kmも隔たれており、外部のトラと交配する機会がほぼ絶たれています。

これは人間による森林伐採や開発、道路建設などが生息地を分断し、「遺伝的孤立」を招いた結果かもしれません。

では、シミリパル保護区内だけでブラックタイガーが増えているという現象がなぜ問題なのでしょうか。

この事実は、一見“珍獣の増加”として魅力的に映ります。

しかし実はこれ、近親交配が進み、遺伝的多様性が極度に損なわれている可能性があるというサインです。

野生動物は遺伝的多様性があるほど病気や環境の変化に強いですが、限られた個体で繁殖が続くと、さまざまなリスクが高まってしまいます。

長期的には絶滅のリスクも見逃せません。

さらに近年、このブラックタイガーを観光資源として利用しようという動きも見られました。

シミリパル保護区近郊に、ブラックタイガーだけを見せる新たなサファリ施設を設ける計画が発表されたのです。

そしてこの施設が、ブラックタイガーのさらなる近親交配を招く可能性が指摘されています。

保全の現場では「トラの頭数を増やす」だけではなく、「孤立した個体群同士をつなげて遺伝的多様性を守る」ことが大きな課題となっています。

ブラックタイガーは見た目の珍しさだけでなく、遺伝的多様性の危機や生息地分断という現代の生物多様性保全の課題を象徴する存在です。

本当の意味でトラを守るには、“希少さ”に目を奪われるだけでなく、その裏にある自然環境と遺伝子の多様性に目を向ける必要があるのかもしれません。

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世界で唯一の「ブラックタイガー」がインドの保護区で増加中!実は”危機のサイン”だった (2/2)のコメント

anon

またもやAIフェイクイラストを使ってる。実際のブラックタイガーの写真があるのに、実際のものをイラストに描き起こした図版でもなく、単に似た感じに作ったAIフェイクイラストを動物についての記事に使うのは、間違った印象を広めてしまうので避けるべき。すでに何度も指摘しているのに一向にやめないのはどういう意図でしょうか?フェイク画像によるデータ汚染は不可逆で取り返しがつかない事態を招きます。直ちにやめてください。

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