星と惑星の境界を揺るがす「巨大化」の謎
この浮遊惑星の急成長には、さらに驚くべき特徴があります。
最新の観測では、惑星を取り巻く降着円盤の化学組成が、降着現象の間に劇的に変化していたことが確認されました。
たとえば、降着がピークを迎えている間だけ、周囲に水蒸気が大量に出現し、それ以前には検出されなかったというのです。
これは恒星の成長時に見られる現象とそっくりで、惑星で観測されたのは初めてのことです。
また、JWSTの観測によって、この惑星が強力な磁場を持っている可能性も浮上しています。
従来、強い磁場による降着現象は恒星でしか確認されていませんでしたが、今回の発見は「惑星にも恒星並みのパワーが備わっている」ことを示唆しています。
こうした結果は「浮遊惑星の誕生は、これまで考えられてきたよりもはるかに恒星的なプロセスを経ている可能性」を意味します。
研究者は「浮遊惑星は、最も軽い恒星のように形成されるのか、それとも誕生した惑星系から弾き出された巨大惑星なのか、いまだ謎は多いが、今回の発見はその境界をあいまいにするものだ」と語っています。
チームは今後、ESOの次世代望遠鏡「超大型望遠鏡(ELT)」の観測により、さらに多くの浮遊惑星を発見し、その成長メカニズムを解明していく方針です。