化石発見がもたらす学術的なインパクト
なぜ、このような歴史的発見が教室の中で生まれたのでしょうか?
その背景には、「木の葉化石園」が長年にわたり続けてきたアウトリーチ活動があります。
木の葉化石園では、地層から採取した岩石ブロックを教育機関向けに提供し、子どもたちが教室内で化石採集を体験できる仕組みを全国に広めてきました。
この仕組みは1990年代からスタートし、今では年間10万個を超える岩石ブロックが全国の学校や博物館、地域イベントで利用されています。
野外に出かけることなく、本物の化石の発見体験ができるこの活動は、子どもたちに科学の面白さを伝える画期的な教育手法です。
また、今回の化石発見は、研究者と教育現場が密接に連携したことにも意味があります。
市川さんが見つけた標本は、専門の研究者らがマルハナバチ属のものと同定。
その後、ミツバチ科の専門家・玉川大学の小野正人教授に協力を依頼し、現生種「トラマルハナバチ」との類似性が確認されました。
学術的には、鮮新世から更新世にかけての時代は多くの昆虫が種レベルで分化した可能性が高いとされます。
そのため、今回の発見は「マルハナバチの進化の空白」を埋める貴重な証拠資料となります。
さらに、今回のように授業中に学術的に高い価値を持つ化石が発見された事例は、2年前にも同じ慶應義塾系列校で報告されています。
高校生によるセンチコガネ新種化石の発見が世界初としてニュースとなりました。
こうした実践的な授業が、世界の科学研究と直結する事例が続いているのです。
今回のマルハナバチ化石も、頭部こそ失われていましたが、胸部・腹部・翅・脚といった主要部分が精密に保存されており、保存状態・大きさともに世界でも最上級と評価されています。
日本から発見されたミツバチ科の化石としても55年ぶり2例目という希少な標本です。
この標本は、すでに「木の葉化石園」に収蔵され、今後も公的な場所で研究・保存されていく予定です。





























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このようなスゴい取り組みが行われていることを始めて知りました。
学術的価値の大小に関わらず何か化石を見付けてしまうと、しばらくは身の回りの石を叩き割り続けるでしょうね。人生変わりそう!
琥珀(樹脂)に包埋されなくても、これだけ良い状態を保った昆虫の化石が残ることに驚き。現代の日本でトラマルハナバチは本当にごくありふれた普通種なので、30万年前からも生息していたとは興味深いです。当時の環境にどんな花が咲いていたのか、花粉の化石も調べて欲しい。