腸ではなく脳にあった「出すボタン」

謎を解くため、研究チームはまずマウスの大腸に特殊なウイルス(仮性狂犬病ウイルス、神経をたどって光る“目印”)を注入し、腸から脳へつながる神経回路を丸ごと「見える化」する実験を行いました。
ウイルスは感染した神経を光らせながら、信号の流れをさかのぼって進みます。
すると数日後、脳幹の橋にあるバリントン核や青斑核、さらに視床下部室傍核や中脳の水道周囲灰白質などの領域に光る細胞が多く見つかりました。
これにより、これらの領域が排便の動きを指令する有力な候補として浮かび上がりました。
もともとバリントン核と青斑核は「排尿の中枢」として知られており、脳の中でも体の排出行動を司る重要な場所です。
研究チームはいよいよ「脳で排便を司る本丸」はこのあたりだと考えました。
次にチームは、バリントン核と青斑核にある神経細胞を詳しく調べました。
遺伝子操作によって、これらの神経を光でオンにできる仕組みをもつマウスを作り、脳の特定部分をピンポイントで光刺激しました。
さらにマウスの肛門に小さなガラス玉を入れて、便秘のような状態を再現しました。
もしこの場所が「排便スイッチ」なら、光で刺激したときにガラス玉がより速く排出されるはずです。
そして結果はその通りでした。
バリントン核の中にあるVGluT2神経を光で刺激すると、肛門に近い大腸の内圧が上がり、ガラス玉の排出が速くなりました。
一方、同じ核の中でもCRH神経という別の神経を刺激すると、反応が少し遅れて始まり、長く続く収縮が起きることが分かりました。
つまり、排便を動かす神経には「すぐ押し出せ!(VGluT2系)」と「出し切るまで動け!(CRH系)」の二段構えがあるのです。
さらに、マウスが自然に排便する直前を観察すると、この二つの神経の活動が排便の約20秒前から高まり、実際に便が出る瞬間にピークに達しました。
脳の特定の神経が、排便のタイミングに合わせて働くことが確認されたのです。
では、この「脳のスイッチ」はどれほど強力なのでしょうか。
研究チームは光ではなく、薬で神経をオンにする方法(化学遺伝学)でも実験しました。
その結果、バリントン核や青斑核の神経を薬で活性化したマウスでは、2時間以内に排泄された便の量と個数が増えました。
しかも、全体の消化の速さには変化がなく、脳の刺激そのものが「出す動き」を引き起こしたと考えられます。
さらに、下痢のモデルマウスでこれらの神経を抑えると、腸の動きが一時的に弱まり、便の回数や量が減ることも確かめられました。
このように、脳の特定の神経をオン・オフすることで、排便を促したり抑えたりできることが示されました。
この発見は、便秘や下痢の仕組みを理解し、治療法を考えるうえで大きな手がかりになりそうです。





























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