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若者は友達関係に満足しているが、孤独感がある / Credit:Canva
psychology

多くの若者は友人に満足しているが、孤独を感じている

2025.11.14 06:30:09 Friday

世間では「現代の若者は友人が少ないから孤独を感じるのだ」という意見が見られます。

SNSの普及で関係が表面的になり、“本当のつながり”が失われているのではないか、という語られ方も一般的です。

しかし、アメリカのカンザス大学(The University of Kansas)が行った新しい研究は、こうしたイメージとは少し違う現実を示しました。

研究チームは、若者がじつは豊かな友人関係をもち、多くがその関係に満足しているにもかかわらず、強い孤独感を抱きやすいという、矛盾した状態にあることを明らかにしたのです。

この研究は、2025年11月12日付の『PLOS ONE』誌で発表されています。

Young adults say they’re happy with their friendships. So why do so many still feel disconnected? https://news.ku.edu/news/article/young-adults-say-theyre-happy-with-their-friendships-so-why-do-so-many-still-feel-disconnected
Lonely and connected in emerging adulthood: The ambivalence of sociality in a time of transitions https://doi.org/10.1371/journal.pone.0334787

若者が孤独だと感じる理由は?

これまでの議論では、若者の孤独は「友人が少ない」「つながりが薄い」といったイメージとセットで語られがちでした。

しかし、そうした語りは印象に基づくものであり、孤独(つらさ)とつながりの豊かさ(良さ)を同時に測ったデータは、実はそれほど多くありませんでした。

そこで研究チームは、「人は本当に友人が少ないから孤独なのか」「もしかすると、友人の数や質とは別の要因が孤独を生み出しているのではないか」という疑問から研究を設計しました。

調査は2022〜2023年にかけて実施され、合計4812人(18〜95歳)のアメリカ人が参加しました。

若年層の様子をより詳しく見るため、全国調査に加えて大学生のサンプルも含めています。

参加者には、「自分がどれくらい孤独だと感じるか」「周りから切り離されているように感じることがあるか」「他人とのつながりや仲間意識をどの程度感じているか」「困ったときに頼れる人がどれくらいいると思うか」「実際に友人と呼べる人が何人いるか」といった点を尋ねました。

孤独感には、よく用いられるUCLA孤独尺度の短縮版を使用し、「社会から切り離されている感覚」も別に測定しました。

つながり感、仲間意識などは、それぞれ複数の質問項目で評価されています。

友人の数については、「友人だと思う人の名前やイニシャルを書いてください」と具体的に挙げてもらう方法をとりました。

さらに重要なのは、過去1年の生活の変化です。

研究チームは、「進学」「卒業」「就職」「退職」「恋人ができた」「別れた」「引っ越し」「結婚」「子供が生まれた」などのライフイベントの有無を尋ねました。

これに加えて、「この1年で連絡を取らなくなった友人がいるか」「日常的なストレスをどれくらい感じているか」も測定し、生活の不安定さと人間関係の状態の関係を詳しく調べました。

最後に、孤独・断絶感・つながり・仲間意識・サポート・友人の数という6つの指標をもとに、参加者をいくつかのグループに分ける「クラスター分析」を行いました。

これにより、「単に孤独か孤独でないか」という単純な区分ではなく、人々がどのような組み合わせで“つながり”と“孤独”を経験しているのかが見えてきます。

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