海を渡るイノシシの正体をDNA鑑定で解明
海を渡るイノシシの正体をDNA鑑定で解明 / Credit:Genetic evidence reveals that two wild boar (Sus scrofa) lineages invaded an island in Japan by swimming
biology

海を渡るイノシシの正体をDNA鑑定で解明 (2/2)

2025.11.19 18:00:38 Wednesday

前ページ泳ぐイノシシが離島に侵攻している

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なぜイノシシは海を渡ったのか?

なぜイノシシは海を渡ったのか?
なぜイノシシは海を渡ったのか? / 小豆島の位置。本州からのほうが渡航難易度が低そうですがイノシシたちは実際には四国から泳いできたようです/Credit:Genetic evidence reveals that two wild boar (Sus scrofa) lineages invaded an island in Japan by swimming

今回の発見により、「小豆島のイノシシはどこから来たのか?」という長年の謎が解き明かされました。

船で持ち込まれた可能性よりも、自分の足(正確には泳ぎ)で海を渡ってきた可能性の方が高いと示唆されます。

これにより、島で続発しているイノシシ被害の原因究明と対策立案に大きな前進が期待されます。

島のイノシシたちは元を正せば四国から来た“移住者”ですから、今後の防除策を考える上でも島の南側での選択的捕獲や物理的なバリア設置が重要になるでしょう。

また侵入元と侵入経路がはっきりしたことで、島内だけで駆除対策を行うのでは不十分かもしれないという教訓も得られます。

この研究は野生動物が海を越えて分布を広げるパターンを理解する上でも大きな意味があります。

イノシシのような大型哺乳類にとっても、海は完全な障壁にはならず、自力で新天地に進出しうることが実証されたためです。

実際、研究チームは四国側の個体数過密が小豆島への“泳いでの移住”を引き起こした可能性を指摘しています。

香川県本土では2020年時点で推定39,996頭ものイノシシが生息し(密度約23.6頭/平方キロ)、近年は年間捕獲数が5,451頭から10,494頭へと増加するなど個体数が急増していました。

こうした過密状態に耐えかね、一部のイノシシが海を渡る冒険に出たのかもしれません。

そして幸運にも小豆島に漂着した2つの系統が島内で交配した結果、遺伝的多様性が高まり繁殖が加速した可能性があります。

今回の発見は、島の獣害のスタート地点が島の内側だけでなく“海の向こう”にもあることを教えてくれます。

瀬戸内海を泳いで生息域を広げたイノシシたちをきっかけに、私たちも“境界線の考え方”をアップデートする時期に来ているのかもしれません。

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海を渡るイノシシの正体をDNA鑑定で解明 (2/2)のコメント

ゲスト

乙事主が九州から海を渡ってきたのってそんな非現実的なことでもないのか?

    ゲスト

    真っ先に同じ事を考えました!!

ゲスト

遠泳ができないといけないなんてイノシシの世界も厳しいのですね。

名無しさん

熊も海から千葉に入れるかもね

マモル

この研究によって船で持ち込まれた可能性が低くなる理由がわからん。論文にはちゃんと書いてるんだろうけど、この記事だけだと論理の飛躍を感じる。

ゲスト

津軽海峡を横断したクマの記事を過去に別の場所で呼んだことがあるが、このようにアプローチして研究している方々の存在を知ると更に知的好奇心を擽られる

ゲスト

先日、寒霞渓から清滝山経由で草壁に歩いて下りたところ、山中は箱罠だらけでした
ずっと銃声も鳴っていてそんなに獣が多いのかな?と思ってましたが、そういう事情だったのですね

鈴木

北米、欧州、アジア、奄美諸島、日本本土と幅広く生息しているということは、侵入などによって生息範囲を広げる習性がものすごく強いのでしょう。
日本本土では、古代人も一万年以上前には棲みついたようですので、各地で食料として狩りつくされては再侵入の繰り返しがあったのでしょう。
それにしても、小豆島と四国の間の海峡は、(大型船の航路となっているほど開けていて)潮流の流れが、中国側との間の海峡よりもはるかに強いのに、よくぞまあたどり着いたものですね。24時間、さまざまな船が行き来しているので、(島にたどり着けなかった機会も含め)海を泳ぐイノシシの群れを見かけた船もあるのではないかと夢想します

ゲスト

こういうやつがクジラとかイルカになるんだろうな

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