10代の若者の注意力を低下させるのは、「ゲーム」ではなく「ソーシャルメディア」だった
スマートフォンが子どもに普及したこの10年で、デジタルメディアが注意力に影響しているのではないかという議論が強まりました。
ただし、従来の研究は“デジタルメディア全体”をまとめて扱うことが多く、活動の内容による違いを丁寧に検証できていませんでした。
そこで今回の研究チームは、デジタル活動の種類ごとの影響を明確に切り分けることを最大の目的として調査を行いました。
対象となったのは、米国の大規模追跡研究「ABCD Study」に参加した子どもたちです。
研究者は子どもたちを4年間追跡し、計5回の調査を行いました。
デジタル利用時間は「Youth Screen Time Survey」を用い、子ども自身の自己申告で測定されています。
この調査で扱われた活動は、動画視聴(テレビやYouTubeなど)、ゲーム、そしてテキストのやり取り、ソーシャル・ネットワーキング・サイトの利用、ビデオチャットといった内容で、後者3つをまとめてソーシャルメディア利用と分類しています。
ADHDの中核症状である不注意と多動・衝動性は、親が回答する評価尺度を用いて毎年評価されました。
さらに、唾液DNAからADHDの遺伝的リスク(ポリジェニックリスクスコア)も算出し、遺伝要因が影響を増強しているかも検証しました。
その結果は非常に明確でした。
不注意の増加と継続的に関連していたのはソーシャルメディアだけでした。
年ごとの効果は小さいものの、4年間で累積するとある程度の増加に達するという説明も示されています。
一方で、この相互作用は動画視聴やゲームでは観察されませんでした。
さらに「不注意が高い子ほどソーシャルメディアを増やすのでは?」という逆因果関係も検証されましたが、分析ではソーシャルメディア利用が後の不注意増加を予測し、不注意はソーシャルメディア利用の増加を予測しないという一方向の関連が確認されています。
また、遺伝リスクの高い子も低い子も「ソーシャルメディアが不注意を悪化させる」傾向は変わらず、遺伝によって影響が強まることはありませんでした。
では、なぜソーシャルメディアだけが若者の注意力を乱すのでしょうか。



























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