休暇は贅沢ではなく「目に見えない投資」である

今回の研究から導かれた最大のポイントは、「休暇は単なる一時的なご褒美ではなく、数週間にわたって仕事や日常生活のパフォーマンス(仕事や日常生活のしやすさや成果)を下支えしうる『目に見えない投資』になり得る」ということです。
休暇が終わった直後の、いわゆる「仕事モードへの復帰」の瞬間にこそ、気持ちの落差が大きくなりますが、そこで調子が一気に休暇前の最悪の状態に戻るわけではありません。
むしろ休暇前の疲れ切った状態に落ち込むまでは、意外に時間がかかるのです。
研究者たちは、「休暇の効果は大きく、過去の研究で考えられていたほどすぐには消えない」とまとめています。
このことは、個人にも会社にも大きな意味を持ちます。
個人レベルでは、「ちゃんと休暇を取ること」は、単なる心のガス抜きではなく、その後数週間の自分のパフォーマンス(仕事や日常生活のしやすさ)が底上げされることにつながりうる「コスパの良い投資」として見直すことができます。
会社側にとっても、「休暇を取らせることはさぼりを許すことではなく、中長期の成果を守るための仕組みだ」と言い換えやすくなります。
著者たちは論文の最後で、従業員が十分な休暇を持ち、それを実際に使えるようにし、休暇中は仕事から頭を切り離せるような環境や職場の雰囲気、ルールを整えるべきだと提言しています。
もちろん「約43日」という数字は、復帰後の測定値から直線的に外挿した推定にすぎず、必ずしも全員に当てはまるわけではありません。
実際の回復カーブが人によって曲がっている可能性や、途中で仕事や家庭のストレスが再び高まる可能性を考えると休暇効果の持続時間は人によって大きく違うものになるはずです。
それでもこの研究には、はっきりとした成果があります。
バラバラだった休暇研究を32本まとめることで、「休暇前 → 休暇中 → 仕事に戻った直後 → そこからしばらくあと」という時間の流れ全体を一枚のカーブとして描き出したこと。
休暇の長さだけでなく、「仕事から頭を切り離せたか」「体を動かしたか」といった質の面が、回復とどのようにつながっているかを整理したこと。
そして、「仕事始めがつらい」という多くの人の実感を、「あなたが弱いから」ではなく「休暇のピークから落ちるとつらく感じやすい」という形で説明しなおす言葉を提供してくれたことです。
休暇は、ただのご褒美ではなく、「その後の数週間の自分と職場を少しだけマシにするための、静かなインフラ」である──そう考えてみると、次の連休のカレンダーが、少し違って見えてくるのではないでしょうか。
もしかしたら未来の世界では、休暇は特別なご褒美ではなく、仕事を長く続けるための“基本装備”として、もっと当たり前に設計されるようになるのかもしれません。


























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「何日休んだ後の調査なのか」の記述が無いように思われます。
40日のバカンスが取れる外国と、ゴールデンウィークや正月休みでさえ1週間が限度の日本では全く環境が違うのでは。