凍結カエルの戦略を移植技術に応用する
アメリカとカナダに生息するアマガエル「Dryophytes chrysoscelis」もまた、凍結と融解を繰り返して生き延びます。
ただし、このカエルはグルコースではなく、グリセロールを使います。
グリセロールは細胞膜全体に均一に広がり、解凍時の水分バランスの乱れを防ぐのです。
この事実は、凍結耐性には一つの正解がないことを示しています。
もちろん、これだけでは凍結耐性は完成しません。
凍結耐性カエルは同時に代謝を極限まで低下させます。
生合成や成長、エネルギー消費といった活動をほぼ停止させ、生命活動を最低限の待機状態に落とすのです。
これは、損傷を受けやすい状態で無理に活動しないための、生物学的な安全装置だと考えられています。
そして、凍結カエルたちのこれらの仕組みに注目しているのが、米国のマサチューセッツ総合病院の研究チームです。
現在、移植用臓器は摘出後わずか数時間しか保存できません。
そのため、移植手術は常に緊急対応となり、長距離輸送や最適なドナー選択が難しい状況にあります。
研究者たちはカエルの戦略を手本に、氷を細胞の外で作らせる工夫や、人体の細胞には毒性の少ない糖の仲間、さらには代謝を一時的にゆるめる薬など、いくつかの方法をそれぞれ開発してきました。
その結果、こうした自然から着想を得た手法を使うことで、ラットの肝臓は数日間の保存が可能になりました。
別の実験ではブタの腎臓を1週間以上凍った状態で保存してから移植することにも成功しています。
研究者たちが繰り返し強調しているのは、魔法の分子は存在しないという点です。
凍結耐性は、氷の位置、化学物質、代謝の抑制、時間経過といった複数の要素が協調的に働いた結果として成立します。
自然界が何十億年もかけて作り上げたこの段取りこそが、最大のヒントなのです。
心臓が止まり、氷に包まれても復活するカエルは、臓器を壊さずに休ませる方法を私たちに教えています。



























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人工冬眠にも役立ちますねアルテミス計画につかえたらいいね❤️
白菜など植物もグルコース(ブドウ糖)を゙使って凍結を防ぐから冬に甘みが増して美味しい。カエルと白菜…全然違う種だけど、同じような仕組みが備わっているのは生物として遥か遠い繋がりを感じる。