炎症型肥満という新しいものさし

今回の研究により、肥満者に見られる慢性的な軽度炎症が脳のやる気スイッチに影響して労力を伴うような選択全般を遠ざけてしまう可能性が示されました。
炎症を抑えてやる気を引き出すことで、肥満に陥った人々の悪循環(不健康な食事→炎症悪化→さらに意欲低下…)を断ち切る道が開けるかもしれません。
注目すべきは、肥満者の中にも「炎症型」と「非炎症型」の二通りがいそうだ、という示唆です。
この発見により、「肥満だから皆同じ」という前提ではなく、その人の炎症状態に応じたアプローチが必要だと示唆されたのです。
では炎症は具体的にどうやって「やる気」を奪うのでしょうか。
論文によれば、慢性炎症下では免疫物質であるサイトカイン(炎症性タンパク質)が血液から脳内に入り込み、ドーパミン(快感や意欲を生み出す脳内物質)の働きを妨げることが動物実験や人の研究から示されています。
ドーパミンは前頭前野や線条体といった脳の報酬・動機づけ回路を駆動する信号ですから、炎症によってドーパミンが減少すると「よしやるぞ!」という活力が湧きにくくなります。
研究者たちも「炎症はドーパミンの信号伝達を乱すことで労力に対する感受性に影響を与えている可能性があります」と記しており、体が発する炎症のサインが脳内のやる気ホルモンを弱めてしまう図式が浮かび上がります。
(※注意:素人判断で抗炎症剤を服用しないで下さい)
もし炎症が肥満と食行動をつなぐカギであるなら、炎症を鎮めること自体が新たな治療ターゲットになり得ます。
例えば安全性に配慮した抗炎症薬の活用や、抗炎症作用のある食品・運動を取り入れることが、減量プログラムの効果を底上げする可能性があります。
研究者たちも「今回の発見は、肥満治療に抗炎症的な戦略を組み込む重要性を示している」と指摘しています。
もしかしたら未来の世界の肥満外来では「やせ薬」と「抗炎症剤」がセットで出されるケースが珍しくなくなるかもしれません。

























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