会話を冷静に進めるコツ②:責めずに自分の体験から話す
もう一つのポイントは、言葉の選び方です。
「あなたはいつもそうだ」
「あばたはどうして……」
「あなたのせいでこうなった」
こうした表現は、事実を伝えているようでいて、相手の人格や価値に踏み込みやすい“あなた言語”です。
こうした言葉を投げかけられると、相手は内容よりも先に、自分を守ろうとします。
その瞬間、会話の焦点は問題解決ではなく、防御や反論に移ってしまうのです。
これに対して、感情的に安定した人は「自分の体験」を語ります。
「昨日の会話で、私が話している途中に話題が変わったとき、私は少し寂しく感じたんだ」
「先月の支出を見たとき、将来の貯金が減るのではないかと私は不安になったの」
「会議で私の提案に返答がなかったことを、私は『あまり重要ではないと受け取られたのかもしれない』と感じました」
ポイントは、まず『何が起きたのか』という観察できる事実を述べ、そのうえで『自分はどう解釈し、どう感じたのか』を分けて伝えることです。
常に自分を主語にすることで、相手の人格ではなく出来事と自分の体験に焦点を当てることができます。
実際、2018年の研究では、言い合いが始まりそうな場面での“最初の一言”を比較した結果、「『私』を主語にした表現」は相手に敵意を感じさせにくく、防御的な反応を引き起こしにくいことが示されました。
さらに、「自分の視点」と「相手の視点」の両方を認める表現が、最も建設的と評価されています。
たとえば、「あなたがそう感じる理由は理解できるけれど、私はこう感じている」という形です。
このような言い方は、相手の立場を否定せず、自分の立場も明確にします。
勝ち負けではなく、経験の共有へと会話の軸を移すのです。
自分の体験を丁寧に伝えることは、弱さではありません。
誇張や非難に頼らなくても、自分の感じたことは十分に意味があります。
だからこそ、言葉を鋭くする必要はないのです。
ここまでで、言い合いになりそうな話題を冷静に進めるための2つのコツを紹介しました。
どちらも特別な交渉術ではありません。
まず自分の神経系を整えること、そして、責めずに自分の体験から語ること。
それだけで、対立から対話へと変わる可能性を持っているのです。



























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