鏡の前で魚が「エビを咥えて落とす遊び」のような行動をとった
魚にも、人間のような素早い自己認識はあるのでしょうか。
答えを得るために研究チームは、サンゴ礁にすむホンソメワケベラを1匹ずつ水槽に入れ、喉の下に寄生虫そっくりの茶色い印(偽寄生虫マーク)を注射しました。
その状態で、魚にとって人生(魚生)初となる大きな鏡を水槽の一面に設置し、初日から5日間、毎日8時間をまるごとビデオで記録しました。
鏡が顔を出すと、多くの魚はまず「誰だお前!」とばかりに鏡の中の相手へ突進し、噛みつきや威嚇といった攻撃をくり返しました。
これは約30秒から約31分ほど続きました。
その後、魚たちはいったん距離を取り、今度は鏡の前で体を傾けたり、鏡を見ながら後ずさりしたりと、自分の動きと鏡の動きがぴったり対応しているかを確かめるような行動に切り替わりました。
研究ではこの確認行動はすべての個体で約4分から約2時間20分ほど観察されたことが確認されています。
そしてこの行動が終わった後、9匹中6匹が、鏡越しに見える喉の違和感に気づいたかのように、用意しておいた岩に喉をこすりつけ始めました。
最も早い個体では鏡提示からおよそ30分、多くの個体では2時間以内に「喉こすり」がスタートしており、ミラーテストの合格サインとされる自己認識行動を、驚くほど短時間でクリアしていたと研究チームは判断しています。
ですが本当に面白いのはここからです。
印をこすり落とそうとしたあと、魚たちの鏡への態度はがらりと変わりました。
口先で鏡をつつく回数は、印に気づく前よりも有意に増え、鏡の前でくねくねと不思議な泳ぎをしたり、鏡のすぐそばでじっとたたずんだりする時間も目に見えて長くなりました。
研究チームはこれを、鏡そのものの性質を確かめる「鏡探索行動」と名づけ、単なる攻撃でも自己チェックでもない第3のステージだと研究チームは考えています。
また鏡に口をつけたままスーッと水槽の底に向かって沈んでいくという奇妙な行動も目立ちました。
さらに象徴的だったのが、エビの欠片を使った魚たちの「自作実験」です。
ある個体は、底に落ちているエビの欠片をくわえ、鏡の前まで持ち上げてからわざと落としました(上の動画参照)。
すると、落ちていくエビと、その鏡像の動きを見比べるように、魚は鏡に沿って一緒に沈みながら口でガラスをつつき続けました。
鏡がない水槽では同じ行動が見られなかったことから、研究者は「自分以外の物体を使って鏡の性質を試す高度なテスト」だと解釈しています。
こうした流れをまとめると、魚たちは「敵だと思ってケンカ」「自分と鏡像の動きをテスト」「鏡を使って自分の喉をチェック」「エビを使用した遊び兼実験」という四つのフェーズを数時間~数日のうちに駆け抜けていることになります。
研究チームは、このスピード感こそが「魚には鏡を見る前から自分の体のイメージがあり、鏡はその違和感を確認するための道具になっている」ことを示唆していると考えています。




























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