身体能力の高さが理由ではなかった?
チームは次に、心理的な結果が身体能力と関係しているのかを調べるため、実験室で別のテストを行いました。
参加者の一部を研究室に招き、「9ホールペグテスト」と呼ばれる課題に取り組んでもらったのです。
これは9本の小さな棒を片手だけでできるだけ速くボードに差し込むテストで、手の器用さを測るためによく使われます。
もし左利きが競争に強いのが身体能力のためなら、このテストでも左利きが有利になるはずです。
ところが結果はそうではありませんでした。
この課題では、右利きの参加者の方が速いケースも多く、利き手と器用さの間には明確な関連が見つからなかったのです。
さらに、手の器用さと競争心の間にも有意な関係は確認されませんでした。
つまり今回の研究は、左利きの人が競争に積極的になりやすい傾向は、身体能力ではなく心理的な要因に関係している可能性を示したことになります。
少数派だからこそ残った特性かも
研究者たちは、この結果が「進化的に安定した戦略(Evolutionarily Stable Strategy)」という理論と一致すると説明しています。
この考え方では、人間社会では多数派の右利きが集団で協力する場面に有利である一方、少数派の左利きは一対一の競争の場面で優位になる可能性があるとされています。
もし左利きが競争の場で心理的な優位を持つのなら、その特性は完全に消えることなく、一定の割合で残り続けるかもしれません。
人類の約9割が右利きである一方、左利きが約1割ほど存在し続けているのは、こうした少数派ならではの競争的な強みが関係している可能性もあるのです。
利き手という身近な特徴は、単なる身体のクセではありません。
そこには、人類の進化や社会の中で形作られてきた心理の戦略が隠れているのかもしれません。

























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