15年間、会話量は減少し続けている
この研究は、最初から「現代人は昔より話さなくなったのか」を調べようとして始まったわけではありませんでした。
出発点になったのは、2007年に発表された「男女で話す量に差はあるのか」を検討した研究です。
研究チームはその結果をあらためて確かめるため、同じ方法を使って新たなデータを分析していました。
ここで使われたのが、参加者の日常生活の音声を断片的に記録する「電子録音装置」です。
参加者は小型の録音装置を身につけて普段どおりに生活し、装置がときどき短時間だけ周囲の音声を記録します。
こうすることで、「今日はどれくらい話しましたか」と本人に後から思い出してもらうのではなく、実際の日常の中でどれだけ言葉を発しているかを、より自然な形で捉えることができます。
今回の分析では、2005年から2019年までに行われた22の独立研究、約2200人分のデータが使われました。
これらの研究は、乳がんへの対処、離婚後の適応、瞑想が人間関係に与える影響など、もともと別々の目的で行われたものです。
つまり、会話量の変化を追跡するために最初から設計された研究ではありませんでしたが、別の目的で集められた自然な会話データが、長期的な変化を読み解く材料になったのです。
そして再分析の結果、研究者たちは思いがけない変化に気づきます。
2007年の研究では、1日に話す語数の平均は約1万5900語と推定されていました。
ところが今回の新しい分析では、その平均は約1万2700語でした。
さらに各研究のデータを実施年と結びつけて調べると、話す言葉の量は年ごとにほぼ直線的に減っていることがわかりました。
研究チームは、この減少幅を年間約338語と見積もっています。
そしてこの減少傾向が少なくとも15年間続いてきたのです。
では、実際に何が減っているのでしょうか。より詳しい結果と、その原因を見ていきましょう。

























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