画像
人々が話す「言葉の数」が減り続けている / Credit:Canva
society

1日の会話量は「毎年338語」ずつ減少している (2/2)

2026.04.02 11:30:28 Thursday

前ページ15年間、会話量は減少し続けている

<

1

2

>

失われつつあるのは「日常の小さな会話」だった

この研究で特に印象的なのは、減っているのが単に「会話全体」ではないらしい点です。

失われたのは、長い会話そのものではなく、日常のあちこちにあった短いやり取りでした。

例えば、レジで店員にひと言尋ねる場面、道を聞くやり取り、近所の人とのちょっとした雑談などです。

こうした会話は一つひとつを見るとごく短いものですが、1日の中で積み重なれば、意外と大きな量になります。

今回の研究は、そうした細かな接触が少しずつ減ってきた可能性を示しています。

年齢による違いも見られました。

研究者の解説によると、25歳未満の層では年間約452語、25歳以上では約314語の減少が示されており、若い世代でより大きな低下傾向がみられました。

ただし、減少は若者だけに限られた現象ではなく、年上の世代でも確認されています。

これは、特定の世代の問題というより、社会全体の変化を反映している可能性があります。

では、なぜこうした変化が起きているのでしょうか。

研究は原因そのものを特定したわけではありません。

ただ研究者は、スマートフォンSNSに加え、セルフレジやタッチパネル注文、GPSナビゲーションのように、人と話さなくても用事を済ませられる仕組みが増えたことは、この変化の背景の一つかもしれないと考えています。

昔なら誰かに声をかけていた場面が、今では画面を数回触るだけで終わることも珍しくありません。

もちろん、そのぶん文字によるやり取りが増えている可能性はあります。

しかし研究者は、話し言葉と打ち込んだ言葉は同じではないと見ています。

声には調子や間合いがあり、その場で相手に返される反応があります。

短い会話であっても、文字だけのやり取りとは違ったつながりを生みます。

だからこそ、総文字数が減っていないとしても、話し言葉の減少がそのまま問題ないとは言い切れません。

もっとも、この研究にも限界はあります。

データは主にアメリカやヨーロッパの参加者から集められたもので、世界全体にそのまま当てはめることはできません。

また、分析対象は2019年までで、その後の変化はまだ十分にはわかっていません。

しかし研究者は、「この減少傾向が逆転するとは考えにくい」と述べています。

今ではさらに会話量が少なくなっている可能性が高いのです。

今後は、話す言葉の減少が孤独感や人間関係、心の健康とどう結びつくのかを詳しく調べていく必要があります。

今回の研究が示したのは、単に「人が話さなくなった」という事実だけではありません。

日常の中で人とつながる小さな瞬間が、私たちの気づかないところで少しずつ減っているのかもしれない、ということなのです。

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

ゲーム

1位

2位

3位

4位

5位

社会のニュースsociety news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!