ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける
ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける / Credit:Canva
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ハトは楽園実験でカオスを生成していた――「ご褒美が確実」でも違う答えを試し続ける (2/4)

2026.04.21 20:30:55 Tuesday

前ページ120通り「全ての選択が正解」――ハトに与えられた「楽園」

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「いつもの順番」に飽きて、わざと別を試すハトたち

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5つのボタンが円形に配置されており、それぞれに1〜5の番号が振られています。この番号は、ハトがどの順番でボタンをつついたかを記録するためのものです。たとえばハトが上→右→下→左→左上の順につついたら「12345」、逆なら「54321」と記録されます。ですが最も重要なのはどの順番でも正解であり「ごほうび」がもらえる点です。/Credit: Wasserman et al., JEPAC (2026)

ハトたちは確かに「お気に入りの順番」を持っていました。

6羽とも、120通りある手順のうちたった5つだけで、全試行の4分の1以上を占めるほど偏った好みを示したのです。

これは「効果の法則」そのものの現象で、従来の研究とも一致します。

問題はその先でした。

250日間の訓練期間中、ハトたちは120通りすべての順番を少なくとも1回は試していたのです。

もっと驚くべきは、「お気に入りの順番」の人気が時間とともに上がったり下がったりを繰り返したこと。

たとえばハト38Bは、訓練初期に「21543」という順番を猛烈に好みましたが、50セッションを過ぎるとその人気は急落。

最後の50セッションでは、上位5つの中で最も使われない順番になっていました。

ハト56Yに至っては、劇的でした。最初は「15243」が圧倒的に多かったのに、ある時期を境にピタッと使わなくなり、次に「52431」が台頭。

しかしそれも消え、今度は「51432」が主役に躍り出る――まるで気まぐれなアーティストが作風を変えていくような推移です。

ハト82Rと55Wに至っては、周期的に好みが循環していました。

「壊れていないなら直すな」(If it ain’t broke, don’t fix it)――英語圏のおなじみの格言です。

ハトたちは、この格言を堂々と無視していました。

「このような劇的な行動の不安定さは、効果の法則とは全く相容れないのです」と、50年以上ハトの認知研究を続けてきたワッサーマン教授は語っています。

次ページ効果の法則を超える「混沌の淵」という生存戦略

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