ダイヤモンドは小さくするとプニプニ化すると判明――15%縮んでも割れなかった
ダイヤモンドは小さくするとプニプニ化すると判明――15%縮んでも割れなかった / Credit:Zhang et al., Phys. Rev. X 16, 021010 (2026) / CC BY 4.0
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ダイヤモンドは小さくするとプニプニ化すると判明――15%縮んでも割れなかった (3/5)

2026.04.22 20:10:10 Wednesday

前ページ小さなダイヤは予想以上に大きな弾力を持つと判明

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ダイヤが柔らかくなったのは表面のせいではなかった

ダイヤが柔らかくなったのは表面のせいではなかった 
ダイヤが柔らかくなったのは表面のせいではなかった  / (a):横軸にナノダイヤの直径、縦軸にヤング率をとった散布図。赤い点が約100個のナノダイヤの実験値、エラーバーが標準偏差、青い線がコアシェルモデルのフィッティング曲線。直径が小さくなるほどヤング率が下がる傾向が一目瞭然。(b):(111)面、(110)面、(100)面という異なる結晶面の表面構造を、DFT計算で可視化した電子密度分布図。表面近傍で電子の雲がどう分布しているかをカラーマップで示す。コア・サブサーフェス・表面で電子密度が異なることが視覚的に分かる/Credit:Zhang et al., Phys. Rev. X 16, 021010 (2026) / CC BY 4.0

「小さくなると柔らかくなる」──この現象を前にして、多くの読者は、おそらくこう予想するのではないでしょうか。

「きっと、表面の原子が柔らかいのだろう」

実際この推論は、物理学者の間でも長く有力視されてきた仮説でした。

ところが今回の研究は、この直感を真正面から裏切ります。

研究チームが電子顕微鏡の観察データと計算機シミュレーションを突き合わせて詳細に解析したところ、驚くべき事実が明らかになったのです。

表面の原子や中央部のコアそのものは硬いままだったのです。

柔らかくなっていたのはその「間」──つまり、表面のすぐ内側にある中間層だったのです。

研究チームは、この領域を「サブサーフェス」と名付けました。

この結果は原子間の距離にも表れています。

物理学においては一般に、原子と原子の距離が近いほど、結合が強く硬いと考えられています。

隣り合う原子が近くにいれば電子の雲が濃密に重なり、結合は頑丈になる。

逆に距離が離れれば、電子の雲が薄くなり、結合はヤワになる。

バネをイメージしても分かりやすいかもしれません。

短く張られたバネほど硬く、伸ばされたバネほど、触れた指で簡単に動かせるようになります。

そして研究者たちが表面、中間、中心部分の原子の距離を調べたところ一番外側の表面層では、炭素原子同士の結合距離が1.49オングストロームと、通常のダイヤ(1.55オングストローム)より短くなっていました。

距離が短い=結合が強い、つまり力学的には予想外に”硬い”状態だったのです。

また一番内側のコアでは、結合距離は1.55オングストローム──普通のダイヤと変わらない、標準的な結合です。

ところが両者の間にあるサブサーフェス層では、結合距離が通常より約5〜6%も長く伸びており、最大1.64オングストロームにまで達していました。

つまり、表面でも中心部でもない、”挟まれた中間層”こそが、ナノダイヤの柔らかさを生み出していた真犯人だったのです。

次ページなぜダイヤの表面は硬く、内側が柔らかくなったのか──原子たちの"手の配り直し"

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