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海底で見つかった黄金の球体の正体は? / Credit:Steven R. Auscavitch(Smithsonian Institution)et al., bioRxiv(2026). CC0
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海底に沈む「謎の黄金球体」の正体が判明 (2/2)

2026.04.27 11:30:20 Monday

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なぜ“黄金の球体”は残されたのか

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黄金の球体は、深海イソギンチャク「Relicanthus daphneae」が残した外皮だった / Credit:Steven R. Auscavitch(Smithsonian Institution)et al., bioRxiv(2026). CC0

この研究で明らかになったのは、球体の正体だけではありません。

研究者たちは、なぜこのような形の「外皮」が海底に残されるのかについても検討しています。

まず考えられているのが、「移動の痕跡」という仮説です。

イソギンチャクは一見すると岩に固定された生物のように見えますが、実際にはゆっくりと移動する能力を持つものもいます。

観察記録からは、生きた個体の下に似たクチクラが見える例もあり、研究チームは、このイソギンチャクが移動する際に外皮を残す可能性を考えています。

つまり黄金の球体は、「海底に残された皮」のようなものだと考えられます。

もうひとつの仮説が、「無性生殖の途中段階」です。

一部のイソギンチャクでは、体の下部を残して本体が移動し、残された部分から新しい個体が育つ増え方が知られています。

研究チームは、黄金の球体の丸い形が、このような不完全な無性生殖の痕跡である可能性も挙げています。

ただし、この種で実際にその過程が確認されたわけではありません。

さらに興味深いのは、この「残された外皮」が単なる死骸ではないという点です。

研究によると、球体の内部や表面には多種多様な微生物が存在しており、特に、分解で出てくるアンモニアを別の物質に変える微生物が多く見つかりました。

これは、球体が深海の小さな「分解と栄養循環の場」になっていた可能性を示しています。

今回の研究から分かるのは、私たちが「未知の生命体」だと感じたとしても、実は既知の生物の知られざる側面に過ぎない可能性があるということです。

深海は未踏の領域であると同時に、すでに知られている生物の理解がまだ十分でない場所でもあります。

黄金の球体は、新しい生物の発見ではありませんでした。

しかしそれは、深海に生きる生物の振る舞いが、私たちの想像以上に奇妙で奥深いことを示しています。

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