骨だけでなく「皮膚の輪郭」まで残っていた
この化石が特に重要なのは、ただ新種だったからではありません。
保存状態が、非常に珍しかったからです。
アレナエルペトン・スピナトゥスの標本には、頭と胴体がつながったほぼ完全な骨格が残っていました。
さらに驚くべきことに、骨だけでなく、体の外形を示す軟組織の痕跡、つまり皮膚の輪郭まで保存されていたのです。
砂岩は足跡や骨の一部を保存することがありますが、全身に近い骨格や軟組織の輪郭まで残る例は多くありません。
そのため研究者たちは、この化石をニューサウスウェールズ州で過去30年に見つかった中でも特に重要な化石の一つと位置づけています。
アレナエルペトンの全長は、尾まで含めると約1.2メートルと推定されています。
【新種の両生類の復元イメージがこちら】
同時代の近縁種の多くが比較的小型だったことを考えると、かなり大きな存在です。
そしてこの「大きさ」は、分椎目の進化を考える上でも興味深い点です。
分椎目はその後も長く生き残り、アレナエルペトンから約1億2000万年後のオーストラリアにも、さらに巨大化した仲間が存在していました。
研究者たちは、体の大型化が、彼らの長期的な存続に関係していた可能性にも触れています。
庭の壁になるはずだった石は、危うくただの建材として積まれるところでした。
しかし、その中には、三畳紀の川を泳いでいた古代両生類の姿が、骨格だけでなく体の輪郭まで閉じ込められていました。
何気ない石の中にも、地球の歴史が眠っていることがあります。
アレナエルペトン・スピナトゥスは、庭先の偶然が、太古の生物の進化を知る手がかりへと変わった好例なのです。




































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