画像
チンパンジーも不公平を嫌う / Credit:Canva
animals plants

チンパンジーも「不公平な扱いを嫌う」と判明、親しい仲間との間で顕著

2026.06.11 20:00:09 Thursday

同じ仕事をしたのに、自分だけ報酬が少ない場面に出くわしたら、多くの人は「それは不公平だ」と感じるはずです。

アメリカ・ジョージア州立大学(GSU)などの研究チームは今回、チンパンジーの群れ全体が自由に参加できる実験を行い、彼らが不公平な報酬にどう反応するかを調べました。

その結果、チンパンジーは自分だけ低価値の食べ物を受け取り、他の個体が高価値の食べ物を受け取ると、報酬を拒否しやすくなることが分かりました。

研究の詳細は、2026年5月20日付で『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。

Chimpanzees react negatively to unfairness, especially when close partners are nearby https://phys.org/news/2026-06-chimpanzees-react-negatively-unfairness-partners.html
Chimpanzees’ responses to inequity in a group context are influenced by food quality and their relationships with the group members present https://doi.org/10.1098/rspb.2026.0397

群れの中で試された「不公平への反応」

人間社会では、公平さは重要な感覚です。

同じ作業をしたのに、自分だけ報酬が少なければ、多くの人は不満を抱くでしょう。

こうした「自分と相手の取り分の差」への反応は、不平等嫌悪(inequality aversion)と呼ばれます。

動物を対象にした研究は過去にも行われてきましたが、それらの多くは、2個体だけを向かい合わせる二者実験でした。

二者実験は条件をそろえやすい一方で、動物たちが本来暮らす群れの複雑な社会関係を反映しにくいという限界があります。

そこで研究チームは、群れ全体がその場にいる状態で、参加したい個体が自由に参加できる「物と報酬を交換する実験」を行いました。

対象となったのは、アメリカ・テキサス州のNational Center for Chimpanzee Careで暮らすチンパンジーたちで、最終的な解析には27個体が含まれました。

実験では、チンパンジーがトークンを実験者に渡すと、食べ物を受け取れます。

報酬には、低価値・中価値・高価値の3段階の食べ物が用意されました。

低価値にはセロリやニンジン、中価値にはピーナッツ、オレンジ、リンゴ、高価値にはブドウやバナナが、群れごとの好みに合わせて使われました。

実験条件には、全員が同じ報酬を受け取る公平条件、1個体だけが他の個体より低い、または高い報酬を受け取る不公平条件がありました。

さらに、より良い食べ物を見せたあと、実際にはそれより価値の低い食べ物を渡すコントラスト条件も設けられました。

これは、チンパンジーが本当に他個体との比較に反応しているのか、それとも単に「良い食べ物を見せられたのにもらえなかった」ことに反応しているのかを切り分けるためです。

その結果、チンパンジーは自分だけ低価値の食べ物を受け取り、他の個体がより良い食べ物を受け取ると、報酬を拒否しやすくなることが分かりました。

拒否行動には、食べ物を受け取らない、落とす、捨てる、メッシュ越しに押し返すといった行動が含まれます。

では、この反応はどんな条件で強まり、どんな条件では弱まったのでしょうか。より詳細な結果は次項で見ていきます。

次ページ報酬の価値と「親しい仲間」が反応を左右した

<

1

2

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!