画像
『Air』(1647)/ Credit: en.wikipedia
animals plants

判明したばかりの「鳥を食べるコウモリ」の捕食行動、実は400年前の絵画に描かれていた (2/2)

2026.07.01 12:00:26 Wednesday

前ページ400年前の絵に隠れていた「鳥を食べるコウモリ」

<

1

2

>

絵画は「見過ごされてきた自然観察の記録」かも

チームは、ヤン・ブリューゲルが実際に夜の高空でコウモリの狩りを見たと断定しているわけではありません。

歴史的な絵画、とくに寓意画には、象徴的な表現や空想的な要素が含まれることが多いからです。

そのため、「鳥をくわえたコウモリ」が描かれているからといって、それだけで400年前にこの行動が科学的に観察されていたとは言えません。

しかしチームは、この描写には注目すべき点があると考えています。

まず、鳥をくわえているのが、ほかのコウモリではなく、ヤマコウモリ属らしい個体であることです。

また、くわえられている鳥も、スズメ目の小鳥のように見える点が重要です。

これは、現在知られているオオヤマコウモリの捕食行動とよく対応しています。

ヤン自身が珍しい昼間の捕食場面を目撃した可能性もあります。

あるいは、当時の人々がコウモリの糞に混じった鳥の羽毛に気づき、「このコウモリは鳥を食べる」と経験的に知っていた可能性もあります。

また、誰かから聞いた自然観察の話を、画家が作品の細部に取り入れたのかもしれません。

いずれにしても、この絵画は、芸術作品が単なる美術史の資料にとどまらないことを示しています。

昔の画家たちは、動物の姿や行動を驚くほど細かく観察し、それを作品の中に描き込んでいました。

その中には、現代の科学者が後から重要性に気づく情報が眠っている可能性があります。

現在、世界中の美術館や博物館では、所蔵作品のデジタル化が進んでいます。

高解像度画像として作品を見られるようになれば、専門家や画像解析ツールによって、これまで見過ごされてきた動物の描写を調べやすくなります。

今回の研究は、古い絵画が過去の生物多様性や動物行動を知る手がかりになりうることを示す好例です。

400年前のキャンバスに描かれた小さなコウモリは、科学がようやく追いついた自然の一場面を、静かに記録していたのかもしれません。

絵画は、ときに美しさだけでなく、失われかけた自然観察の記憶も残しているのです。

<

1

2

>

判明したばかりの「鳥を食べるコウモリ」の捕食行動、実は400年前の絵画に描かれていた (2/2)のコメント

ゲスト

調べたらコウモリの水平飛行の最高速度は160㎞で鳥類の平均100㎞より圧倒的に早かった
コウモリすごいな

    さいこう!

    最高速度は160km/h、と言いたかったのでしょうか?
    160kmは距離であって速さではないように私には思えます。

    ゲスト

    さいこう!さん、他単位間違えてるのは確かにそうだけど、普通に速度って書いてあるんだから160km/hだと思わんか?
    文面通りにしか読めんか?

    哲学猿

    そもそも用法としては非常に一般的で何も間違っていない。
    こんな事に揚げ足を取りたがる人間の人間関係を想像すると心配になる…。

鳥々

観察機器・測定機器が未発達の頃、また科学による知識の集積も未発達な中で、このように野生生物の生態を正しく生き生きと描き遺しているヤン・ブリューゲル氏の観察眼に驚きました。

記事が述べている通り、この絵画からは「ヤン・ブリューゲル氏が実際にこの事象を観察した」とは断言し得ないのですが、それでも氏はこの事象を単なる空想で描いたのではなく、何らかの確信を持って作品にしたのでしょう。
この一枚の絵が、彼らコウモリ類の多様性を証明するものとなっていくとよいですね。

余談ですが、私は以前、モズ(Lanius bucephalus)が、アブラコウモリ(Pipistrellus abramus)を捕食しているのを見たことがあります。
鳥類の世界では、コウモリを捕食するという事象はかなり頻繁に起こるようです。

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

0 / 1000

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

動物のニュースanimals plants news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!