サイボーグ昆虫を「水陸両用」にするスーツ
サイボーグ昆虫とは、生きた昆虫に小型の電子制御装置を取り付け、外部から移動方向などを誘導する技術です。
小型ロボットはモーターを動かすために多くの電力を必要としますが、サイボーグ昆虫は昆虫自身の筋肉を使って歩くため、少ない電力で移動できます。
また、昆虫の体は小さく、複雑な地形にも適応しやすいため、がれきや配管のような狭い場所の探索に向いています。
ただし、その活動範囲は昆虫の体の限界に縛られます。
例えば、ゴキブリのような陸上昆虫は、水中の酸素を魚のように取り込めません。
昆虫は体表にある「気門」から空気を取り込み、気管を通して全身へ酸素を送っています。
そのため、水中に沈むと気門から空気を取り込めず、活動を続けることが困難になります。
そこで研究チームは今回、マダガスカルオオゴキブリを用いて、彼らに装着できる小型の潜水スーツを設計しました。
このスーツは、
・酸素を発生させる装置
・体を水から守る柔軟な防水シェル
・発生した酸素を胸部の気門へ届ける酸素供給チューブ
から構成されています。
【こちらがスーツを着用したサイボーグ昆虫の実際の画像。昆虫が苦手な方は閲覧をお控えください】
仕組みの中心にあるのは、過酸化水素水と二酸化マンガンを使った酸素発生です。
過酸化水素は二酸化マンガンを触媒として分解され、水と酸素を生じます。
ただし、単に反応させるだけでは泡が激しく発生し、昆虫の動きを不安定にしてしまいます。
そこでチームは、二酸化マンガンをセルローススポンジに固定し、反応を細かい場所で分散して起こすようにしました。
これにより、激しい泡立ちを抑えながら、安定して酸素を供給できるようにしたのです。
また、酸素発生器にはPTFE微多孔膜が使われています。
これは気体を通しつつ液体を通しにくい膜で、発生した酸素だけを外へ送り、過酸化水素水や二酸化マンガンが漏れるのを防ぎます。
研究では、振動や長時間の配置試験でも液体漏れは確認されず、装着した個体は実験後3日間生存し、通常の行動を示したと報告されています。



























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