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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
technology

サイボーグ昆虫の水中活動を実現する「潜水スーツ」を開発

2026.07.01 17:00:33 Wednesday

災害現場では、人間が入れないほど狭く、しかも水没した空間がしばしば生まれます。

がれきの隙間、排水管、地下トンネル、浸水した通路などは、救助や点検が必要でありながら、従来のロボットでも進入が難しい場所です。

そこで期待されているのが、生きた昆虫の運動能力を利用する「サイボーグ昆虫」です。

しかし、これまでのサイボーグ昆虫には大きな弱点がありました。

それは、陸上昆虫である以上、水中では呼吸できないことです。

今回、南洋理工大学シンガポール(NTUS)と早稲田大学の研究チームは、陸上昆虫を水中でも活動させるための柔軟な「潜水スーツ」を開発しました。

研究の詳細は2026年6月29日付で学術誌『Nature Communications』に掲載されています。

世界初、陸上昆虫で水中探査が可能に 酸素供給スーツで3時間潜水するサイボーグ昆虫を実現 ~浸水した災害現場やインフラ内部での活用に期待~ https://www.waseda.jp/inst/research/news/84905
Underwater Suit-Wearing Cyborg Insect Capable of Hours-Long Diving and Terra-Aqua Travel https://doi.org/10.1038/s41467-026-74235-1

サイボーグ昆虫を「水陸両用」にするスーツ

サイボーグ昆虫とは、生きた昆虫に小型の電子制御装置を取り付け、外部から移動方向などを誘導する技術です。

小型ロボットはモーターを動かすために多くの電力を必要としますが、サイボーグ昆虫は昆虫自身の筋肉を使って歩くため、少ない電力で移動できます。

また、昆虫の体は小さく、複雑な地形にも適応しやすいため、がれきや配管のような狭い場所の探索に向いています。

ただし、その活動範囲は昆虫の体の限界に縛られます。

例えば、ゴキブリのような陸上昆虫は、水中の酸素を魚のように取り込めません。

昆虫は体表にある「気門」から空気を取り込み、気管を通して全身へ酸素を送っています。

そのため、水中に沈むと気門から空気を取り込めず、活動を続けることが困難になります。

そこで研究チームは今回、マダガスカルオオゴキブリを用いて、彼らに装着できる小型の潜水スーツを設計しました。

このスーツは、

・酸素を発生させる装置

・体を水から守る柔軟な防水シェル

・発生した酸素を胸部の気門へ届ける酸素供給チューブ

から構成されています。

【こちらがスーツを着用したサイボーグ昆虫の実際の画像。昆虫が苦手な方は閲覧をお控えください】

仕組みの中心にあるのは、過酸化水素水と二酸化マンガンを使った酸素発生です。

過酸化水素は二酸化マンガンを触媒として分解され、水と酸素を生じます。

ただし、単に反応させるだけでは泡が激しく発生し、昆虫の動きを不安定にしてしまいます。

そこでチームは、二酸化マンガンをセルローススポンジに固定し、反応を細かい場所で分散して起こすようにしました。

これにより、激しい泡立ちを抑えながら、安定して酸素を供給できるようにしたのです。

また、酸素発生器にはPTFE微多孔膜が使われています。

これは気体を通しつつ液体を通しにくい膜で、発生した酸素だけを外へ送り、過酸化水素水や二酸化マンガンが漏れるのを防ぎます。

研究では、振動や長時間の配置試験でも液体漏れは確認されず、装着した個体は実験後3日間生存し、通常の行動を示したと報告されています。

次ページ水中で最大3時間の活動が可能に

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