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水分補給の必要を知らせるウェアラブルセンサー / Credit:UT Austin
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猛暑日に命を救う!?水分補給の必要を知らせるウェアラブルセンサーを開発

2025.07.17 18:00:50 Thursday

「喉が渇く前に水分補給をしなさい」とよく言われますが、実際にそのタイミングを正確に判断するのは難しいものです。

特に夏の炎天下や運動中、私たちは気づかないうちに脱水のリスクにさらされています。

自分の感覚だけでは水分不足を見逃してしまうことも多く、放っておくと命に関わるケースもあります。

そんな“見えない脱水”を可視化し、スマホで知らせてくれる新たなセンサーを、テキサス大学オースティン校(UT Austin)の研究チームが開発しました。

腕に貼るだけで、体内の水分変化をリアルタイムで測定し、危険な水分不足の兆候を自動で検知してくれるというのです。

この成果は、2025年7月14日付の『Proceedings of the National Academy of Sciences』誌に掲載されました。

Hydration sensor alerts wearer to urgent water need https://newatlas.com/wearables/hydration-sensor-wearable/ Stay Hydrated: New Sensor Knows When You Need a Drink https://cockrell.utexas.edu/news/archive/10218-stay-hydrated-new-sensor-knows-when-you-need-a-drink
Wireless arm-worn bioimpedance sensor for continuous assessment of whole-body hydration https://doi.org/10.1073/pnas.2504278122

見えない脱水を知らせるウェアラブルセンサーを開発

人間の体の約60%は分でできています。

水分は体温調節、血液循環、老廃物の排出、筋肉の動き、脳の働きなど、生命維持に欠かせない機能を支えています。

しかし、喉の渇きは“遅れてやってくる警告”に過ぎません。

すでに体内の水分が減ってから発生する感覚であり、「渇きを感じたときにはすでに軽度の脱水が始まっている」と考えるべきでしょう。

軽度の脱水でも、集中力の低下や疲労感、頭痛などを引き起こします。

中度から重度になると、めまい、低血圧、錯乱、最悪の場合は熱中症やショック状態に陥ることさえあります。

それにも関わらず、脱水状態を客観的に判断するのは非常に困難です

従来の方法である尿検査や血液検査は、医療機関に行かないと実施できませんし、頻繁に行うには不便すぎます。

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体内の水分量を監視し、水分補給の必要性を知らせてくれるウェアラブルセンサーを開発 / Credit:UT Austin

そこで研究チームは、体内の水分量を、いつでも・どこでも・手軽に測定できる方法の開発に乗り出しました。

着目したのが、生体インピーダンス法という技術です。

これは、体にごく微弱な電流を流し、組織の電気抵抗(インピーダンス)を測定するというものです。

ここで重要なのは、水は電気を通しやすいという性質です。

体内の水分が多ければ電流はスムーズに流れますが、水分が不足すると、組織の電気抵抗が高くなる傾向があります。

つまり、組織の電気の流れにくさを測定すれば、体の水分状態がわかるというわけです。

研究チームが開発したセンサーは、二の腕に貼り付けるタイプの小型軽量な装置で、バッテリー駆動となっています。

センサーが微弱な電流を腕に流し、その流れにくさ(インピーダンス)を測定します。

測定データは無線通信によってスマホに送信され、リアルタイムで水分状態がアプリに表示される仕組みです。

このセンサーの利点は、体を傷つけない非侵襲的な構造でありながら、連続的な測定が可能であることです。

ユーザーが何をしていても、水分状態を常にモニタリングできるという点で、これまでの水分管理手段を大きく上回っています。

次ページセンサーが知らせる水分補給が「炎天下で働く人の命を守る」

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