「自分には居場所がある」という感覚が恋愛満足度を支えていた
分析では、幼少期の心理的虐待と成人後の恋愛満足度との関連において、所属感が統計的な媒介要因になることが示されました。
簡単に言えば、心理的虐待を多く報告した人ほど所属感が弱く、その所属感の弱さを経由して、恋愛満足度の低さと結びついていたのです。
これは、心理的虐待を受けた人が恋愛に向いていないという意味ではありません。
親から繰り返し否定された経験があると、「自分は人から受け入れられない」「親しくなれば傷つけられる」といった見方を持ちやすくなる可能性があります。
そのため、恋愛関係でも拒絶への不安を抱き、相手との間に安心感を持ちにくくなることが考えられます。
また、友人や周囲とのつながりが弱ければ、安心感や承認を一人の恋人に強く求めることになり、関係への負担が増す可能性もあります。
とはいえ、この研究にも限界はあります。
同じ人を2回調べた縦断研究ですが、心理的虐待が恋愛満足度を直接低下させたと証明したわけではありません。
また幼少期の経験を含むすべてのデータは本人の自己申告であり、記憶や主観、社会的に望ましく見せようとする回答の影響を受けた可能性があります。
追跡期間は3カ月と短く、対象者もトルコの1大学に通う若い成人に限られていました。
それでも、幼少期の経験と現在の恋愛との間に「所属感」という経路が示された点には意味があります。
過去の経験そのものは変えられなくても、現在の人間関係の中で「自分は受け入れられている」と感じられるつながりを育てることが、今後の支援を考える手がかりになるかもしれません。































